くらし☆解説「相次ぐ乗っ取り・狙われるIP電話」 2015.06.23


生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは10時5分です。
「くらしきらり解説」きょうのテーマは、こちらです。
担当は三輪誠司解説委員です。
三輪さん、IP電話の乗っ取りといいますと今月身に覚えのない利用料金を請求されるという被害が相次いでいるというニュースがありましたね。
三輪⇒そうですね、IP電話は利用料金が安いということが魅力でして今では固定電話全体の半分近い3500万件以上の電話番号が使われてるということです。
ひかり電話というのもIP電話の一種でして家の電話は大丈夫なのかと心配した人も多いと思います。
不安になりましたね。
どういったことがあったかといいますと、こちらで説明します。
東京・世田谷区の保険代理店なんですがことしの3月に250万円の国際電話料金の請求がありました。
よく調べてみますと通話先は西アフリカのシエラレオネで4日間で1万4000回の国際電話がかけられていたということが分かったということです。
実際に通話は行われていたんですか?電話はかかっていたということです。
通話しているように見せかけたということではなくて、本当にかかっていたんですね。
そのトリックはあとで説明しますが実はこうした不正利用はことし3月までの1年間に通信会社3社だけで190件も繰り返されていたということです。
こんなに多いんですね。
通話先はシエラレオネ、ソマリアスロベニアなどです。
深刻なのはこうした乗っ取りによる請求は免除されないということです。
250万円は払わなくてはいけないということなんですね。
そのとおりです。
安いIP電話なのにこんなに請求されるんですね。
そういうことですね。
どうしてもともと安いかということですがIP電話の仕組みから説明します。
普通のアナログ電話を使う場合電話線をVoIPルーターというIP電話専用装置に接続します。
イラストでいうと黒の機械ですね。
ここにつながると電話の信号は電子メールと同じようなデジタル信号に変換されましてインターネットを通るということです。
IP電話会社の交換機に接続されてここで電話回線網につながります。
そして相手先につながるというのがIP電話の仕組みです。
電話回線網を通る区間が短いというため、IP電話の料金が安いということです。
IP電話どうしなら無料の場合もあります。
自分の家の電話がIP電話かどうなのか分からなくなってしまったという方もいると思います。
どうしたら分かりますか?まず050で始まる場合まずIP電話です。
またはそうではなくて普通の市外局番から始まる電話番号の場合は電話線がルーターにつながっているかというところが見分けるポイントです。
家の壁の接続口ではなくて機械につながっているかどうかですね。
しかしマンションなどの場合では分かりにくくなっている場合もあります。
NTTなど、自分が契約している通信事業者に確認するといいと思います。
そもそも犯人の手口ですがどのようにして不正が行われたんでしょうか。
説明します。
実際の被害は企業や事業者を対象に行った被害が集中されています。
ねらいはこちらですIP−PBXです。
悪いことをしようという人はIP−PBXという装置に対してパソコンとIP電話ソフトを使って侵入しようとします。
IP−PBXにはパスワードが必要です。
それがないとログイン、侵入することはできません。
いろいろなパスワードを入れて試します。
それが偶然に一致すると乗っ取られてしまう侵入できてしまうということです。
侵入するとどういうことができるんですか。
IP電話を勝手に使うことができます。
今回の場合インターネットを通じて電話回線に入り国際電話をかけてしまったということです。
国際電話料金が乗っ取られた側に請求されるということです。
利用料金は通信会社に払うわけですよね。
犯人は何のためにこんなことをしたんでしょうかよほどこのケースだとシエラレオネに電話する用事があったとか。
それはなかなか。
今回の場合は4日間で1万4000回という異常な回数ですから会話を楽しんでいたというよりかはかける側も受ける側もコンピューターを使って自動発信、自動着信を繰り返していたのではないかと考えられます。
実際何のためにそんなことをしていたのか犯人に聞いてみないと分かりませんが情報セキュリティーの専門家や通信会社が注目しているのは国際電話料金の仕組みです。
説明いたします。
国際電話の料金というのは発信側の通信事業者の料金と受信者側の国の通信事業者の料金を合計したものなんです。
受信者側の国がシエラレオネなどの場合は、通信インフラが国内で整っていないためコストがかかるとして利用料金が高くなっています。
しかし利用している人は多くないということがこうした国の悩みです。
そのため国際電話がたくさんかかってくると受信者側の通信事業者としてはありがたいわけです。
警察などもこうした乗っ取りによって誰が得をするのかということに注目しています。
IP電話装置の通信記録などを調べていますが、まだ犯人にはたどり着いていないというのが現状です。
自分は国際電話をかけていないと言っても今回のように免除されないのは、なぜですか?受信者側の通信事業者が免除に応じない、たとえこれが乗っ取りですと言われても同じように請求してくるから免除されない理由になっています。
乗っ取られないようにするしか防ぐ方法がないんですよね。
どうすればいいんでしょうか。
通信事業者や総務省が注意喚起を出しています。
1つは、IP電話装置に外部から接続できないようにする。
個人の場合はこうした設定をしていませんが事業所などの場合はIP電話装置に外からログインできるようにして外部から会社までの通話代を利用料金を無料にしたいということで設定している場合があります。
しかしそういった仕組みが狙われていますので設定自体を考え直すということも必要です。
2点目がこちらです。
IP電話のパスワードを長く複雑なものにする。
1つ目のように外部から接続できるように設定しておきたいとした場合パスワードが最後のとりでになります。
簡単にすると見破られてしまいますので複雑なものにしておく必要があります。
3点目です。
国際電話にかけられないようIP電話の設定を変更する。
先ほどの手口とは別の手口で個人の利用者が乗っ取られたというケースもあります。
そうしたものを防ぐ場合には国際電話をそもそもかけられないように設定すれば高額な料金が請求されません。
1つ目ができていれば2番、3番の設定の必要はありませんよね。
外部から接続しておきたいという人が2つ目3つ目を設定するということですね。
自分で設定変更しなければいけないですか。
もともとどういう設計か分からないという人もいるかもしれません。
その場合は通信事業者に自分が契約している業者に問い合わせるのがいいと思います。
パソコンと同じようにIP電話もセキュリティー対策が必要になってきたんですね。
あまりセキュリティーに意識しなくても使っているものですから設定が甘くなっているのが現状です。
問題などはこうした被害はおよそ5年前から報告されていました。
それにもかかわらず危険性が周知されていなかったそれと被害者を救済する対策が整っていないのが大きな問題です。
いいことばかりが宣伝されがちですがリスクと対策について事前に具体的に示しておかないと被害をなくすことができないと思います。
三輪誠司解説委員でした。
次回は寒川由美子解説委員とともにお伝えします。
2015/06/23(火) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「相次ぐ乗っ取り・狙われるIP電話」[字]

NHK解説委員…三輪誠司,【司会】岩渕梢

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【出演】NHK解説委員…三輪誠司,【司会】岩渕梢

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ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療

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