生字幕放送でお伝えします
きょうは欲しくなっちゃう「ひるブラ」。
欲しいブラです。
ぴっかぴかに光る銀色の物体。
実は、これ金属の錫
(すず)で作った器錫器というものなんですよ。
職人さんが削っていくとこのように鏡のような輝きのある器になっていきます。
そして、チャンさんのお手元にも錫器がもちろん。
おしゃれでしょう。
手で持つと、その魅力もひときわだと思うんですがそのまま、そのグラスにこれからの季節おいしいキンキンに冷えたビールを注ぎます。
感触を味わってください。
チャンさん。
あ!冷えてきた!冷たい!うわー!気持ちええ!これ、本当はやいですね。
きゅんと冷えてくる。
錫の特徴というのは熱を早く伝える。
だから、手でも中の温度を楽しめるし中のものの温度が保たれる。
そして、このデザインはこの質感おしゃれだけじゃなくて中の細かい凹凸がビールの細かい泡を作ってくれるんです。
おしゃれで、おいしいそれが大阪の錫器の魅力。
父の日のプレゼントとして5000個、製造するほど大人気なんです。
きょうは涼しげで高級感のある大阪の伝統工芸・錫器の魅力そしてさらに職人さんの見事な技をご紹介したいと思います。
安田さん。
こんにちは。
私もタンブラー持っててよくビール飲みます。
おうちで?どうですか?違います?
格別です!
よかった。
大ファンということですね。
大ファンなんできょう、うれしいです。
その裏の職人さんのご苦労というのはこれからたっぷりお見せするのでまだまだ好きになると思います。
この錫とここ、大阪というのは歴史で深いつながりがあるんです。
奈良の東大寺正倉院。
こちらには日本最古ともいわれている錫器が保管されているんです。
奈良時代に作られた錫のつぼ錫薬壷
(すずのやっこ)です。
錫器は奈良や京都など関西を中心に作られてきました。
こちらは江戸時代の錫の商店を描いた絵図。
この大きな店があった場所が大阪・御堂筋。
江戸時代になると錫器作りは商業が盛んな大阪が中心になったんです。
日本一の高いビル・あべのハルカスから3kmほどの住宅街の中にあるこちらの工場ではその伝統の技を今でも受け継いでいるんです。
そして、国内生産量のおよそ6割以上がここで作られてるんですよ。
その種類なんと3000以上です。
先ほど見た、タンブラー。
ほかにもほんの一部だけなんですけどご用意いただきました。
まず、デザインが豊富なので注目していただきたいんですがまず、歴史的に長く使われているのが茶つぼなどの茶具です。
そして、さらに…。
これ、なんだか分かりますか?
熱かんですよね。
そうです!お見事!正解。
これ、ちろりっていうものなんですよ。
居酒屋さんで、よく置いてある。
熱かんを入れちゃうやつです。
冷たいものと同じように熱いものも楽しめるということで。
よくお分かりで。
最近、人気なのは先ほどお見せしたタンブラーのカップ型。
この形がさまざまなだけではなくて柄とか色とか、本当におしゃれなデザインさまざまなんです。
このデザインを実現する理由が…。
この素材にあるんです。
この錫器の素材、ちょっと振るだけですので振ってみますね。
すごく、やわらかいんです。
だから、さまざまな形に変えることができるんです。
このやわらかいがゆえに落としたら、こんな…。
やっちゃうこともあるんですよ。
気をつけなはれや状態のときも直してくれるんです。
こちらの工場の社長でいらっしゃる今井達昌さんです。
これ、直してみましょうか。
今井さんは現代の名工と伝統工芸士に認定されている方です。
下に置かずにただ、手で添えてトントントンとたたくだけ。
ものの20秒ぐらいで…。
形としては整ってるように見えますよね。
もうちょっとかな?
こんなもんで使えますね。
めっちゃきれいに直ってる!すごい!
落とし放題でございます。
なるべく大切に使って…。
このように使いやすくて美しい、この錫器がどのように作られているのかこれから職人の技をたっぷり見ていきたいと思います。
まず、安田さん熱い錫を型の中に流し込む鋳造の作業です。
この部屋なんですけどもう、この部屋自体がすごく暑いんです。
この小さな部屋ですけどもこちらで3000種類以上の錫器、作り出すスペースなんですよ。
その中の下、小さな鍋で作っているんです。
くどいようですけども全国の6割ですからね。
この鍋から。
これで錫が溶けてるわけです。
液面が見えますね安田さん。
透明なんですか?
透明じゃないですよ。
これが錫の本当の色なんです。
映っているもの見えますか?
薄い膜ですよね。
鏡みたい!不思議!
錫そのものはこんな感じなんですって。
これを作って鋳型に流し込んでいくわけですけど。
湯気のようなものが出ていないから熱くなさそうに見えるんですけど235度ぐらいまで上がっている。
錫が溶ける温度が232度なんですよ。
ほかの金属が1000度近くにならないと溶けないのに比べると扱いやすいという点があるんですね。
それでも高いんですけどこれ、どんどん注いでいるうちにひしゃくの表面が固まり始めているんです。
温度と時間が本当に錫の美しさの命なんですよ。
錫が、中に流れ込んで固まるタイミングとあと、鋳型そのものの温度。
こういったものがバランスがちょっとでも崩れると錫の色合いとか形が崩れてしまうんですね。
そのタイミングを今井さんはタイマーとか温度計とか使わずにご自身の感覚だけで測ってらしてるんです。
取り出すところまで。
それが、さっきたくさん、種類あるっていったでしょう。
この工場、扱っている鋳型がここにあるのほんの一部だけなんです。
3500種類以上。
この中に注ぎ込む鋳型なんですけどもこの型ごとにどのタイミングでどのスピードで錫を流し込むかというのをご自身の経験値と勘だけでやってらっしゃる。
大変な作業を実はやってらっしゃるんです。
経験も長いということで。
どれだけ大変かということをね。
一回、チャンさんこの地金をすくってみはります?
ささってすくってはりましたよね。
熱いですけどね。
沈まないですね…。
浮いてしまうんですよ。
ぐぐっと…。
これを前へ進めるようにしてすると…。
そしたら、膜が入らないでしょ。
せーの!
表面の酸化した部分が入らないということなんです。
これ、重たいですね!すごい重いです!これ、何キロぐらいあるんですか?
1kgほどです。
この小さい器で1kgですって…。
比重が少しありますからほんで、口のほうから、そーっと流しましょうか。
さすが、錫ですよね。
液体ですけどもしっかりとした錫なんですわ。
だから、部屋の中も温度が高くなっていまして。
40度超えてますから。
だから、安田さんこの暑い中で熱くて重い錫を操りながら、先ほどのタイミングを計って職人さんのご苦労があって錫の美しさというのが、まず鋳造の段階で出来上がるということなんです。
そのベースの形ができたら次は、さらに美しく磨き上げる作業を見にいきたいと思います。
この上にあるんです行きましょう。
安田さん、これから行くのが一番最初にお見せした…。
涼しく感じますな!
真夏のすごい暑いときやったら表のひなたに出ても涼しく感じますよ。
一番最初に錫を磨いていた部屋に戻るんですがここで、鋳型から出された錫をさらに美しく磨いていきます。
最初のところです。
音が鳴っているのが分かると思うんですがこれ、ロクロが並んでいるんです。
職人さん8人が台にすっぽり体が入る形で座っているんですけどもその職人さんの目の前でくるくると回っているのこれが、ロクロです。
横向きに回ってるんです。
そこに、錫をつけて職人さんが削っていくということなんですね。
でも、錫ってやわらかいのでロクロは電動だけどそれ以外、手作業じゃないと錫が繊細なので手作業じゃないと作れないということなんです。
ここに錫の器がセットされましたね。
ここから削っていくということなんですが。
きれいですね。
削りかすが宝石みたいに…。
見応えあるでしょう。
細かい!
削るときに使っている手で覆われているんですが持っている道具が刃刀のような形になっているんですが横にいくとこれが、かんなという錫器独特の道具なんですね。
2本、置いてますけども使い分けたりしてるんですよ。
これ、すごい種類。
一つのやつを作るのに種類がいるんですって。
この6本を使ってこのタンブラーこれ一つを削ったり磨いたりするのでこれだけの道具を使ってるということなんですよね。
道具の本数としては少ないほうですよね。
例えば、真ん中の2つ。
同じような形に見えるんですけれどもこれも違うんですね?
これはねこういうふうに、基本的に外を削る刃物なんですね。
横とか、底を削るんです。
同じような形に見えてるんですけど中を削る、かんななんですね。
2つを比べてみたときにちょっと、右のほうが角度が斜めになってるでしょう。
この微妙な角度で中が削れるかどうかが決まってきますし左は、ここ横まっすぐなんです。
微妙にアールがあるんです。
それがあることによって横がひけるんです。
微妙な違い。
手で使いますから。
それぞれ自分の削りやすいように形を作ってるんですけど同じ形では、なかなか削れないんですよね。
こんなに細かく使い分けるもんだからこの工場の壁、ご覧いただくとこのかんながいっぱい並んでるんですよ。
かんなだけで1000種類以上皆さんで、使い分けているということなんです。
鋳型からあがってきたものを見てまた、かんなを使い分けたりという職人さんの判断でいろいろ持ち替えている。
品物の形によってかんなの形、全部決まってきますから。
品物の数だけかんながいるということです。
このロクロの部屋でどんなふうにおしゃれな錫器が生まれているか今、作っているものが茶筒です。
完成品です。
柄がチャンさん…。
しっかりと刻まれているんです。
めちゃくちゃ気持ちいいんですよ。
手触り。
溝が大体3mmぐらい。
本当に均等で深さも同じなんですよ、それぞれ。
これをどのように彫っているのかというとこの美しいデザインどう作っているかというのをロクロ職人歴11年目の高井さんに見せていただきます。
高井さん、どんなかんなをここでは使いましょうか?
このかんなを使って筋、つけていきます。
模様をつける専用のかんななんです。
ぶっといですけどね。
3mmの幅に比べると。
きれい!
溝がもう入ってますね何本も。
あっという間でしょう。
タイミングも大事なんですね。
でも、あんまりにも速い…。
素人じゃ分かりづらいですよね。
錫器ファンの安田さんお待たせしました。
スロー映像でご用意しています。
事前に撮影させていただいたものです。
これ、一気に1本の溝を彫っているように見えたんですが実は、ちょっとずつ幅を広げていくようにかんなを当てているんですね。
この削りかすの美しさ。
あっという間に、ふたの上まで彫り進めていきました。
そして、茶筒が完成するということなんですね。
このようにして伝統の技で美しい柄ができていくんですね。
ほかほかでございます。
あったかい!きれいですよ。
こういった美しい柄をどんどん作っていくだけではありません。
こちらの会社ではほかの伝統工芸とのコラボで新しい商品をことし、誕生させたんです。
錫器とコラボした伝統工芸。
それは、漆器です。
全国5か所の漆器職人が製作に携わっています。
そのうちの一人紀州漆器の伝統工芸士林克彦さんです。
職人歴35年の林さんはこれまで数多くの美しい作品を生み出してきました。
そんな林さんでも錫器に、まき絵を描くのは難しい作業だといいます。
1つ完成させるのに1週間以上かかるというひと品です。
林さんとコラボをした紀州漆器が…。
かわいらしいですよね。
内側が錫が見えて外が漆器で…。
さらに今井さんの会社では全国5か所の漆とコラボレーションしてたくさんの商品を生み出しているんです。
福島県との会津塗とのコラボレーションは漆を塗ったあとで表面を…。
間から錫が見えるんですよ。
伝統なのに新しいですよね。
今井さん、どうしてこういったコラボをしようと思われたんですか?
私の考えとして伝統工芸品って止まったら終わりなんです。
常にその時代で使っていただける新しいものをどんどん作っていくと。
伝統工芸品同士、大阪の錫と各地の塗りと、漆がコラボで今回は、こういうふうにしてやらせていただきました。
こういった新しいものを作ることによって新しいファンもどんどん増えているということで若者もこの錫作りの世界に魅了されているということでその皆さんに、隣の部屋に会いにいきます。
今、夏を前にどんどん受注が来ているので廊下に一時的にタンブラーが並んでいますがその隣の部屋に入りますと皆さん、お待ちかねです。
この工場で働く若手の皆さんです。
たくさんいらっしゃるんですが皆さんが盛り上がっている中で黙々と作業してる小谷さん。
去年入った、なんと19歳です。
なんで、ここに入られたんですか?
ものづくりが好きでちょっと、この会社に入ろうかなと。
若いのによく受け入れてくれましたね。
そういった若い人がどんどん入っているということなんですが小谷さんが今手元で作っている取っ手を付けているでしょう。
小谷さんが取っ手を付けたものでチャンさんお待ちかねビールを。
小谷さんが取っ手を付けたものです。
2015/06/22(月) 12:20〜12:45
NHK総合1・神戸
ひるブラ「夏を涼しく!錫(すず)器のチカラ〜大阪市・東住吉区〜」[字]
涼しげで気品ある大阪のすず器をご紹介!鋳型に流し込まれたすずはカンナで削られ輝きとスタイリッシュあふれる器に大変身。夏はすず器でビール!すず器の魅力を堪能します
詳細情報
番組内容
【ゲスト】チャンカワイ,【コメンテーター】安田美沙子,【司会】田代杏子 〜大阪市・東住吉区から中継〜
出演者
【ゲスト】チャンカワイ,【コメンテーター】安田美沙子,【司会】田代杏子
ジャンル :
バラエティ – 旅バラエティ
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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