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» 2015年06月26日 08時00分 UPDATE

杉山淳一の「週刊鉄道経済」:「大人の休日倶楽部パス」は本当にズルいのか? (1/4)

「大人の休日倶楽部」はJR東日本が展開する会員制旅行事業だ。会員数は約170万人。この会員向けの乗り放題きっぷ「大人の休日倶楽部パス」がおトクすぎてズルいと話題になった。しかしこれは会員向けの利益還元策にすぎない。

[杉山淳一,ITmedia]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP


大人の休日倶楽部 大人の休日倶楽部

 最近、JR東日本の駅を利用すると「ただいま大人の休日倶楽部パスを発売中です……」という案内放送が流れている。駅の構内放送なんて、一昔前は事故や遅延の情報しか流れなかったと記憶しているけれど、商売熱心になったなあ、と思う。もっとも、録音ではなく若い職員が語っているようだから、新人研修の1つかもしれない。

 「大人の休日倶楽部パス」は、JR東日本が運営する「大人の休日倶楽部」の会員限定で販売するフリーきっぷだ。JR東日本エリア版と、JR東日本+JR北海道エリア版の2種類がある。JR東日本版は4日間有効で1万5000円。JR東日本線と第3セクターの青い森鉄道線、IGRいわて銀河鉄道線、三陸鉄道線、北越急行線、えちごトキめき鉄道線(直江津〜新井間)、民鉄の伊豆急行線、富士急行線に乗り放題。新幹線を含む特急・急行の自由席も乗れる。6回まで指定席も使える。JR東日本+JR北海道版は5日間有効で2万5000円だ。

 2015年2月、このきっぷが「あまりにも安すぎる」とネットで話題になった。大人の休日倶楽部パスそのものは上記の構成で年3回の期間限定で発売されているけれど、話題になった当時は大人の休日倶楽部の発足10周年を記念して、北陸エリアも利用可能となっていた。北陸新幹線の開業前、JR時代の北陸本線に乗ろうという「乗り鉄」も多かったから、なおのこと「うらやましい」という声が高まったようだ。

大人の休日倶楽部パス フリー乗降エリア(出典:大人の休日倶楽部) 大人の休日倶楽部パス フリー乗降エリア(出典:大人の休日倶楽部

 しかし、大人の休日倶楽部は有料会員制である。大人の休日倶楽部パスのJR東日本版を入手するには、最低でも年会費2060円〜3770円と、クレジットカード年会費500円がかかる。実質的には1万7560円〜1万9270円が必要だ。それでもまだ十分安い。

 ちなみに誰でも買える同エリアのきっぷとして「三連休パス」がある。普通列車自由席限定で、こちらは1万3390円。特急・急行は別途料金だけど、こちらもおトクなきっぷといえる。JR東日本+JR北海道版と同じエリアで普通列車自由席限定の「北海道&東日本パス」は7日間有効で1万290円。期間限定で年3回。こちらは特急・急行は乗れない。別途料金でもダメ。

 新幹線や特急に乗るなら、やはり大人の休日倶楽部パスはかなりおトクだ。ただし、若い人から見て「ズルい」かといえば、そうともいえない。若い人がいずれ50代になれば入会できるからだ。例えば、1970年代以前生まれ限定だとすると確かにズルいけど、誰でも50歳になればチャンスがある。

2015年の大人の休日倶楽部パスは3期で販売 2015年の大人の休日倶楽部パスは3期で販売
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