さわやか自然百景「春 鹿児島 硫黄島」 2015.06.21


(テーマ音楽)鹿児島県硫黄島。
屋久島と九州本土の間にある火山の島です。
山からは火山ガスが噴き出し海底から湧く温泉によって海の色は赤く変わっています。
厳しい環境のこの島にもたくましく生きる命があります。
火山ガスが出る海底に生息するカニ。
世界でも数か所でしか見つかっていません。
海を渡って南からやって来たトカゲ。
冬眠から目覚め餌を探し始めます。
火山の島に訪れた春の息吹を見つめます。
鹿児島県本土から南に40キロにある硫黄島。
およそ100人が暮らしています。
7,300年前島の近くで海底火山が巨大噴火を起こしました。
この崖は「カルデラ壁」と呼ばれ噴火の衝撃で大地が100メートル近く陥没した跡です。
噴火によってこの地域一帯の生物はほとんど死に絶えました。
それから徐々に生き物が戻ってきましたが今も過酷な環境です。
島の周りには海底から泡が噴き出す場所があります。
この泡は火山ガスです。
二酸化炭素を多く含んでいます。
生き物の気配がありません。
この辺りの海水はガスによって強い酸性になっています。
海藻もほとんど生えず近づこうとする魚もめったにいません。
ここに唯一住み着いている生き物がいます。
火山ガスが出る場所にいるのには理由があります。
天敵となる大きな魚が近寄らないため狙われる心配がありません。
更にここは食べ物にも恵まれています。
強い酸性のこの海では流れて来た微生物がすぐに死んでしまいその死骸が海底に堆積しているのです。
石に付着した微生物をこし取って食べています。
火山のエネルギーに育まれた知られざる命です。
火山の海の独特な環境で長い間生きてきた生き物がいます。
全長4メートルにもなる…サンゴの表面に付着している黄色いもの。
これは硫黄の成分などが固まって出来た浮遊物です。
太陽の光を浴びて光合成をするサンゴはこうした浮遊物に表面を覆われると生きていく事ができません。
そこでサンゴは表面から透明な粘膜を出して浮遊物を取り除こうとしているのです。
こうしてハマサンゴは厳しい海で200年以上も生き続けてきました。
火山のエネルギーは地上からも放出されています。
山頂から麓まで噴気孔が点在しています。
噴気孔からは硫黄の成分を含んだ100℃のガスが噴き出しています。
ガスは空気中に出ると冷え固まり硫黄の結晶をつくります。
こうした硫黄が豊富にとれる事が島の名前の由来となっています。
火山ガスは雨雲と混ざり合うと強い酸性雨を降らせます。
酸性雨に耐える事ができず植物が枯れてしまう事もあります。
この島で生き残る事ができるものは限られています。
火山ガスの噴気孔から僅か10メートルの場所に生えるのは…ススキの根には特殊なバクテリアが共生しています。
それがつくり出す栄養分を得る事で養分の少ない土地でも生きていく事ができます。
島で最も多い植物は生命力の強い…海岸から山頂付近まで島は見渡す限りリュウキュウチクに覆われています。
硫黄島の植物の種類は周辺の島々の1/3程度しかありません。
こうした島では陸上に生息できる動物も限られています。
足が極端に短いため速く動いて獲物を取る事は苦手です。
しかし変わった習性を持っています。
足を折り畳んでヘビのような動きで枯れ草などに潜ります。
この潜る習性のおかげで獲物が少ない硫黄島でも草の下にいる小さな動物を食べる事ができるのです。
このトカゲは大噴火で硫黄島の生物が絶滅したあと海を渡って南からやって来ました。
朽ちた木などに潜り込んで海を漂流しこの島にたどりついたと考えられています。
火山の生んだ独特の環境を生き物はたくましく利用しています。
生き物を育む火山の島ならではの独特の環境。
それは海の中にも広がっています。
こちらは「柱状節理」と呼ばれる地形です。
海に流れ出た溶岩が冷え固まって岩に複雑な割れ目が出来ています。
柱状節理の中は小さな魚にとって天敵から身を守る格好の隠れがになっているのです。
海面のすぐ近くではメジナの大群に出会いました。
春海水温が高くなるとプランクトンが大量に発生します。
プランクトンを餌にするさまざまな生き物が集まりそれを狙って魚たちもやって来るのです。
大量のプランクトンで海が濁っています。
「春にごり」という現象です。
夏にかけて繁殖する魚も多くそのための糧となっています。
硫黄島の海に訪れた春の恵みです。
地上でも一年で最もにぎやかな季節を迎えようとしていました。
渡り鳥たちが繁殖のために北上する途中でこの島に立ち寄るのです。
硫黄島は長い移動の中で羽を休めるための大切な中継地点です。
アサギマダラもやって来ました。
南から北へと活動しやすい涼しい場所を求めて1,000キロ以上も移動します。
硫黄島でつかの間の休息を取りまた長い旅が始まります。
こちらはリュウキュウチクの林。
新しい芽生えがありました。
夏にかけて瞬く間に成長し硫黄島の大地を彩ります。
火山の島硫黄島。
過酷な自然環境の中でたくましく生きる命がありました。
おじいちゃんになっても輝き続けている人たちがいます。
2015/06/21(日) 07:45〜08:00
NHK総合1・神戸
さわやか自然百景「春 鹿児島 硫黄島」[字]

かつて噴火で全ての生物が絶滅した鹿児島県硫黄島。生きものたちは、長い時間をかけて島に戻ってきた。火山ガスが吹き出す独特な環境で躍動する生きものたちの春に迫る。

詳細情報
番組内容
7300年前の大噴火で、全ての生物が絶滅した島がある。鹿児島県本土から南に40kmの硫黄島。今も火山ガスが吹き出し、海は鉄分を含んだ温泉で赤くにごる。海底に湧く栄養の周りにはプランクトンが増殖し、それを目当てに小魚やイセエビが集まる。陸に戻ってきた植物は、厳しい環境にも耐えられるマルバサツキやツバキ。春、花を咲かせている。陸にはヒリグロヒメトカゲが生息する。小さな命が躍動し始める春を見つめる。
出演者
【語り】山田重光

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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