「上方落語の会」今日のゲストは浪曲師で演歌歌手のこの方です。
菊地まどかと申しますどうぞよろしくお願い致します。
ここでやられたら耳にしみるなあんたの声。
お世話になります。
いや浪曲というのはね昔は寄席の王者でございました。
今でも時々天満天神繁昌亭に浪曲師として出てはる訳ですね。
そうなんです。
昼席でお世話になっております。
もう本当に聖地でやれるのでありがたい限りです。
落語って何か参考になります?舞台の袖から見させて頂くとやっぱり所作そしてセリフの運びなど浪曲と通じるところがあるのですごく勉強になります。
ところで今日はね一番弟子ばっかり集めた会なんですよ。
そうですか。
まどかちゃんも実は一番弟子なんですね。
京山小圓嬢の弟子で一番弟子です。
家族でいうと一人っ子なので愛情をたっぷり頂いて育っております。
結構でんな。
よかったでんな。
感謝です。
そういう事でまず一番弟子…出し物は「野ざらし」です。
(拍手)上方落語界の松坂大輔でございます。
(笑い)
(拍手)本当に中途半端な反応ありがとうございます。
え〜よく松坂大輔投手に似てると言われるんでございますが実は私の方が年が上でございまして向こうが私に似てるんでございますが誰もそうは言うてくれない訳でございますね。
なんと年俸が7桁違うんでございますね。
(笑い)郵便番号ちゃうちゅう。
松坂大輔投手が登板する日にはなんとお客さんが2万人増えたんやそうでございます。
すごいですね。
こないだ私ある落語会で落語やっておりますとお客さん2人帰ったんでございます。
え〜松坂大輔投手が日本に帰ってまいりましてねソフトバンクホークスで契約金が3年で16億円やそうでございますね。
えらい金額でございます。
16億円でございますね。
16円置くんやないですよ。
(笑い)16億円でございますね。
で私が16億円稼ごうと思たらどれだけかかんのんかいなと思て計算を致しました。
え〜今毎日昼間1時からね天満天神繁昌亭という所で落語してる訳でございますね定席という。
そこでまあ1週間出番がある訳でございますね我々ね。
年に3回ぐらいある訳でございますがその一回の私の出演料がですねヘ…ヘン円でございますね。
(笑い)ヘ…ヘン円でございます。
(笑い)え〜これを16億円稼ぐのどれだけかかんのんかいなと計算致しました。
44万日かかるんやそうでございますね。
日にちに致しまして大体1,050年ぐらいかかるんでございます。
(笑い)頑張って長生きせないかんなと思てるとこでございますがね。
え〜一生懸命のおしゃべりでございますが。
私こう見えましても…どう見えてるか分かりませんけど。
え〜もう40になりましてね。
で3歳の子どもがいてるんでございますね。
で電車が好きでございましてね私天満に住んでるんでございますがあの〜固有名詞は言えないんでございますが鶴橋から出てるね奈良の方に行ったり鳥羽の方に行ったりする電車が息子が好きなんでございますね。
あの赤と白の電車が好きなんでございますね。
で特に2階建ての電車が好きなんでございますね。
どこの鉄道会社かは言えないんでございます。
え〜好きなんでございますね。
で天満から電車に乗りましてえ〜鶴橋で見ましてねでまた電車で帰ってくる訳でございますね。
で天満駅に降り立った時にですね私がお手洗いに行きたくなったんでございますね。
大きい方なんでございます。
私が行きたくなったんでございますね。
で入ろかなと思いましたら和式のお手洗いしかなかったんでございますね。
1年前…今は天満駅のトイレ非常にきれいになっておりますが1年前ちょっとまだ改装前で汚かったんでございますね。
でまあ息子3歳でございます。
息子福太郎っていうんでございますが。
福太郎と一緒にトイレ入るのにちょっとあれやなと思いましてあの〜身障者用のトイレございますね。
あの〜それは洋式便器がありましてで6畳ぐらいの広さがありましてねここに住みたいなと思うぐらいなんでございます。
そこでこう座ってね私がやってたんでございますね。
子どもと一緒に入りましてねこうやって座ってた。
8割ぐらい出たんでございますね8割ぐらいね。
出ました時にですねちょうど表の戸がですよ…。
(戸をたたく音のまね)落語のしぐさみたいでしょ?
(戸をたたく音のまね)次の人が来たんでございますね。
「どなたでもお使い下さい」と書いてあるんでございますがやっぱりお借りしてる身分でございますんで慌ててもうこう…手洗うのもそこそこにですね出入り口の近くまで来て施錠を外してこう開けようとしましたらですね警報音がしてるんでございますね。
パイパイパイパイパイパイパイパイパイパイパイパイパイ。
こういう音がしてるんでございますね。
で駅員さんの声でね…。
(戸をたたく音のまね)「大丈夫ですか?」。
(戸をたたく音のまね)「非常ボタン押されたようですけど大丈夫ですか?」。
(戸をたたく音のまね)フッと後ろを振り返りますとですね床から3センチぐらいの所にボールがひもでつってありましてでそれを引っ張ったら非常ボタンを押したんと同じというねそういう装置がある…。
また今度見て頂いたらええと思うんでございますが。
こちらに押しやすい所に非常ボタン別にあるんでございますがこっちにボールがぶら下がっててそれをこう…つってあるんでございますね。
多分うちの福太郎が引っ張ったんでございますね。
(笑い)そういうたら3分ぐらい前にこっちの端の方でね「ボーリュボーリュ」いう声がしてたんでございます。
あ〜これ子どもが引っ張ったんやなと思いまして扉まで近づいてきまして「すいません。
子どもがちょっとあの非常ボタンボール引っ張ったみたいです。
すいません」。
「大丈夫ですね?異常ないですね?はい。
異常な〜し!」。
(笑い)「異常なし確認!」。
(笑い)あの〜改札とトイレが離れておりますんで駅員さん2人で連係プレーしてるんでございますねこれがね。
119番するかどうかという通報するかどうかっていうのやってる訳でございます。
「すいません。
お手数おかけしました〜」言うてまた扉閉めまして施錠しまして今度はあとの2割をですね…。
(笑い)優雅な気持ちでやってたんでございますね。
で「あもうぼちぼち行くで」。
今度ゆっくりでございます。
思いっきり拭きましてねよう手を洗いました。
パ〜ンと押しましたら水流すボタン。
パイパイパイパイパイパイパイパイ…。
今度は私が押したんでございます。
(笑い)パイパイパイパイパイパイパイパイ…。
駅員さんが…。
(戸をたたく音のまね)「大丈夫ですか?また非常ボタン押されたようですけど大丈夫ですか?」。
私がパ〜ン開けまして「異常な〜し!」言うたんです。
(笑い)それではこれで失礼をさせて頂きます…。
帰ったらあかんのでございます。
まあ一席一生懸命のおしゃべりでございますけども。
戸を開けるところからこの話は始まる訳でございますが。
(戸をたたく音のまね)「先生!早い事開けなはれ早い事!先生いてはりまんのやろ?先生はよ開けなはれ早い事!」。
「誰じゃ誰じゃ?表の戸をドンドンドンドンともう。
あ〜今開ける今開ける。
そない戸を強うたたいたら壊れてしまうやないかいな。
はいはいはいよっこいしょとよいしょよいしょあ〜。
誰やと思たらお隣の喜ぃさんやないかいな。
ええ?どないしたんや?こんな朝のはよから」。
「ええ加減にしなはれこの先生だけは」。
「えらい怒ってんな」。
「怒ってまんがなほんま。
ふだん先生わたいら若い者にどない言うてなはんねや。
『わしは年がいたさかいこの世のおなご色気というものに全く興味がなくなった』とか何とか偉そうな事言うといて昨日のあれ何でんねん?あれは。
若い女部屋引っ張り込んでイチャイチャイチャイチャしなはって。
あたいやもめでっせ独身でっせ。
長屋の壁なんか薄いもんだ。
みんな聞こえてきて寝てられしまへんがな寝てられえ。
ゆんべのおなご出しなはれゆんべのおなご」。
「あれをご覧じたか」。
「『ご覧じたか』?ご覧じ過ぎてまんがなほんま。
ゆんべのおなご出しなはれ。
ゆんべのおなごを」。
「あれを知られてしもたんならしかたがない話をしましょ。
そこへ座んなはれ。
おまはんも知ってのとおりわしゃこう見えて釣りが好きや。
昨日も昨日とて竿を肩に担いで淀川堤に釣りに出かけたところが間日っちゅうやっちゃな。
雑魚一匹かかりよらん。
あ〜これもう殺生すなよという天の戒めかいなあと思うたさかいにわしは釣りを諦めて竿を巻きにかかったちょうどその時や。
どこで打つやら寺の鐘が陰に籠もってものすごくボ〜ン」。
(拍手)
(笑い)「とな…」。
「やめなはれ」。
(拍手)「話はもっと陽気ににぎやかにやんなはれ」。
「四方の山々雪解けて水かさ上がる淀川の上げ潮南でドブリ〜ンドブリンと水音。
風もないのに生えてる葦がカサカサッと揺れたかと思うとな…パッと出た!」。
「びっくりした。
『パッと出た』て何が出ましたんや?」。
「カラスや」。
「カラス?カラスが出たんやったら普通に『カラスが出たよ』とこう優しゅ穏やかに言えまへんか?」。
「ねぐらに帰るカラスにしてはちょっと時間もおかしいと思うたさかいにわしも物好き生えてる葦をかき分けかき分け近づいてみるとなんとそこにあったのは一つの生々しいドクロじゃ」。
「知ってます。
あの上等のお茶?」。
(笑い)「玉露やないかそれは。
ドクロというたら人間の頭蓋骨が野ざらしになってある。
こんな所にさらしもんになっているようでは浮かばれんやろうと思うたさかいにわしは飲み残しの酒を上からかけてやって手向けの句の一つも詠んでやるとまあわしの気のせいやとは思うねんけども骨にほんのりと赤みがさしたようにわしには見えた。
あ〜こらええ事をしたわい。
うちへ帰ってゴロッと横になるとすぐに寝てしまう。
真夜中や。
表の戸をば…」。
(戸をたたく音のまね)「たたく音がするやないか。
こんな夜中に『どなたです?』とこない言うとな『淀川堤から参りました』とこない言いよんのや。
あ〜こら昼間の回向がかえってあだとなって狐狸が化けて出よったに違いない。
化かされてたまるかい。
身に油断なく表の戸をばガラッと開けてやるとそこに立ってはったのがあのゆんべの若〜い娘さん。
中に入ってもろうて話を聞いてやると心中やったそうな。
男は死にきれんと逃げてしまう。
おなごだけが屍をさらしていた。
『逃げいく男の後ろ姿を見て己やれとは思いますれど御天道様のお照らしに恐れをなし浮かびもやらでおりましたところあなた様の結構なご回向によって今日浮かぶ事ができました。
今日はそのお礼に参りました。
どうぞおみ足などさすらせて下さいませ』と。
でゆんべのおなごちゅうのはなこの世の者やないねや」。
「ほたら何ですか?あれは…幽ですか?霊?幽霊?化け物?バ?ええおなごやったなそやけど。
いや〜あんなべっぴんさん見た事おまへんわ。
そ…そ…骨ちゅうのまだ淀川堤行たらおますか?」。
「まだ今ならあるじゃろ」。
「あさよか。
ほたらわたいちょっと行ってきますわ」。
「『行く』てどこに行くねや?」。
「いやこの世のおなごが相手してくれへんさかいにあの世のおなごに声かけに行かなしゃあない。
ほたら行てきまっさ」。
むちゃな男があったもん。
2〜3合の酒をば工面致しましてやって来よったんが淀川堤。
「なるほどなあ。
俺の友達もぎょうさん釣り好きおるけどなはっきり言うてばかにしてたんや。
あんな釣りてなもん何がおもろいと思てたけどな釣りしてるとこんな特典があるとは知らなんだわなあ。
ヒヒッ。
えらい出てきたわ。
ぎょうさん釣ってけつかんな。
ほんまどすけべばっかり集まりやがってほんま。
子どもまで釣ってるやないか。
何考えてんねんきょう日の子どもはほんま。
お〜い!骨は釣れるか〜?骨は釣れんのんか骨は〜!」。
「けったいな人出てきはりましたね。
骨とか何とか。
いやわたいらねそんなけったいなもん釣ってしまへんで」。
「あかんあかん。
隠したかてあかんねや。
ネタは上がっとんでネタは。
どんな骨や?年増か?小娘か?芸者か?人妻か?」。
「むちゃくちゃやがな。
女の話ばっかりしてまっせ。
嫁はんに逃げられたんだんなあれね。
わたいらねそんなけったいなもん釣ってしまへんで。
魚釣ってまんねや魚」。
「何を?己ら魚釣るちゅうな顔か!首でもつれ〜!」。
「むちゃくちゃやなこら」。
「今そっち下りていくど〜」。
「うわ〜こっち来る言うてなはる。
わ〜来なはった来なはった。
うわ〜歌いもうて来なはった」。
「チャチャラチャンチャラチャチャラチャンチャラチャチャラ…えらいすんまへんな。
あんさんそっち行っとくんなはれ。
もうちょっとお宅左頼んます。
釣るもん一緒ですさかい仲よう釣りまひょ仲ようね。
わたしゃ年増がかよいわいなスチャラカチャンスチャラカチャンスチャラカチャンそら来いや〜!」。
「派手な人やなこの人は。
しかし見てなはった?この人ね釣りしはんのはよろしいですけど餌つけてはれしまへんで餌。
言うたげまひょか。
なんぼなんでもね。
あんさんね釣りしはんのよろしですけどね餌つけてはれしまへんで餌」。
「餌!?餌!餌てなもん要るか!そやけどこないして釣ってるやろ。
ほたら鐘がボ〜ンと鳴ってカラスがパ〜ッと出たらこの酒という餌が要んねやないか。
何かしてけつかんねん。
知ってるくせにしらばっくれやがってほんま。
鐘が〜ボンと鳴りゃ上げ潮南さカラスがパッと出りゃコリャサノサアアア骨があるサイサイサイかチャラカチャンチャラチャラカチャンチャラチャラカ」。
「やかましなもう。
そんな大きい声出したら魚が逃げまっしゃろ魚が」。
「何を!『大きい声出したら魚が逃げる』?何かい。
俺の声が魚に聞こえるのんか?魚に耳があんのんか魚に耳が。
知らなんだな。
川ん中にいてる魚に耳なんかあってみぃ。
今時分みんな中耳炎になってしもとるわどあほ!何かしてけつかんねんほんまな!その骨に酒をばかけりゃさア骨がべべ着てコリャサノサアアア礼に来ますサイサイサイかチャラカチャンチャラチャラカチャン」。
「水かき回してもうたる。
どんならんなお前。
寄ってきた魚皆逃げまっしゃろ」。
「何を!己とこの町内はこれがかき回すちゅうんか?これが。
これ水面たたいてるだけやないかい。
ええか?ん!大阪で水かき回すちゅうたらなこうする事をかき回すっちゅうんじゃ。
よう覚えと…」。
「やってもうたなこら。
向こう行きまひょかこれ。
釣れまへんでこれ。
いやわたい向こう釣れるとこ知ってまんねや。
向こう行きまひょ向こう」。
「もうちょっと見てまひょ」。
(笑い)「釣りしてるよりこの人見てる方がおもろいな」。
「ああさよか。
あんさん物好きだんな」。
「しかしなあ昨日先生んとこ来た骨はちょっと若すぎるなあ。
年の頃なら15〜16や。
これむちゃくちゃしよんな。
俺はもっと年増な骨がええな。
年の頃なら27〜2830デコボコ。
粋な着物の一つも着よってからに下駄の一つも履きよって。
『カラコロカラコロカラコロカラ。
こんばんは』。
『どなただす?』『幽です霊です幽霊です』。
『お〜幽さん待ってました。
上がって上がって』。
『まあそんな事言うてその気になって上がっていったら奥から角の生えたはる方でも出てきはんのと違いますか?』。
『何言うてんねん。
俺はやもめ独身独り者やがな。
そんなもんいてへんがな。
そんな事言わんとねえさん。
パンと上がってんか』。
『あさよか。
ほたらお言葉に甘えさしてもろうて上がらしてもらいまっさ』ちゅうて戸の隙間からシュ〜ッと入ってきよって俺の横手へペチャ〜」。
「水たまり座ったでこの人は」。
(笑い)「見てて正解だなこら。
おもろおまんね」。
(笑い)「『あんた浮気したら嫌だっせ』てな事言いよんねん。
『浮気なんかせえへんがな』。
『うん。
そんな事ないわ。
何年かしてあてに飽いてきたら浮気しまんねやろ?』。
『せえへんちゅうの』。
『アハンするくせに』。
『せえへんちゅうの』。
『アハンするくせに』。
『せえへんちゅうの』。
『アハン』」。
やってて恥ずかしいんで…。
(笑い)「『するくせに』。
『せえへんちゅうの』。
『アハンするくせに』。
『せえへんちゅうの』。
『するくせに』。
『せえへんて』『するくせに』。
『せえへんて』『するくせに』。
『せえへん…』。
痛っ!」。
「魚釣らんと鼻釣ってますよこの人は」。
「にやにや笑てんと鼻の針外して鼻の針を」。
「鼻の針を言う前にあんたええ?竿緩めなはれて竿を。
いや竿を置きなはれて竿を」。
「『竿を置きなはれ』てこれ…。
お〜ほんまや。
自分で引っ張ってたんやなこれ。
どんならんなこらお前。
ええ?痛っ!よっと。
よっ!うっ!痛っ!これこれ釣り針てこれ戻りついてるさかいなかなか取れへん。
ほんまにもう!おっ!キュッと!フッと!あ〜取れた取れた。
痛っ!痛っ!あ〜痛っ!痛っ…。
うわっ血が出てきたこれ。
鼻血や。
鼻から血が出てきた。
あほら血ぃて鼻血
(話)にならんてこのこっちゃほんま。
こんなもんついてるさかいいかんねや。
こんなん外してしもてそ〜ら来いよ!」。
「針なしで釣ってますよあの人。
しかしあんさん最前から見てたら一人で歌うたり踊ったり鼻釣ったり。
えらい苦労してはりますなあ」。
「苦労するはずですわ。
もう相手が骨だけに骨が折れまんねや」。
(笑い)
(拍手)笑福亭喬若さんの「野ざらし」でございました。
いかがでございますか?すごくあの…ご自身の息子さんのお話もちょこっと入ってたりしまして。
枕というんですか?先生。
あれ大体ね枕ことばから来たというんですね。
本編入る前にやってたんやけど。
浪曲にも枕っていうのありますの?枕それはもう節物語の始まりの事を枕の節。
物語の一部なんですね。
そうなんです。
落語は全く関係ない…全く関係ないちゅうかああいうふうに世間話から入っていけるという…。
物語に伝わる…つながるようにお話しされる枕というのすごく興味がわき楽しく聴かせて頂きましたが落語の後半妄想ですかね。
一人妄想が広がっていくところが特に共感してしまいました。
共感した?はい。
あなたもそんなんあります?私もああなったらいいなこうなったらいいなというのを妄想してしまうので…。
そらやっぱ危ないお人かな。
共感してしまいましたすごく。
でもああいうふうに一人でわ〜っと盛り上がっていくというのも一つの落語のパターンでね。
楽しいですね。
楽しいでしょ?一人芸でやってるからそれが余計際立ってくるという事です。
引き込まれました。
もう勉強になりました。
出し物は「真田小僧」。
どうぞ。
(拍手)ありがとうございます。
続きまして私桂米紫の方でおつきあいを頂く訳でございますが。
まあ今桂米紫とね自分の自己紹介致しましたですけども実は私ねこの米紫という名前になってからは比較的まだ日が浅いんでございますね。
入門さして頂いてからは21年たつんでございますがこの米紫という名前になってからはまだ5年ほどでございましてね。
というのが我々の世界には襲名という制度がございます。
昔あった名前をね継がして頂くという。
私も5年前に四代目となります桂米紫という名前を襲名さしてもうたんでございますが。
ほなその前の名前は何やったかという事でございますがね。
まあここまで言うといて何なんですが私それをあまり言いたくないんでございますよね。
ええ。
というのが私ほんまねあのねあほみたいな名前をね名乗ってたんですよ私。
ええ。
もともとね私ね桂都んぼちゅう名前をね名乗ってたんでございますよ。
というのがうちの師匠が桂都丸という方でね。
ええ。
大体落語家ちゅうのは師匠から名前を一文字取って弟子の名前というのが付くので今うちの師匠も襲名されて桂塩鯛という名前になりましたけども師匠がその都丸時代の弟子で師匠都丸の「都」の字を取って都んぼちゅう事になったんですよ。
ほんでねこれ皆さんご存じないかも分かりませんが我々落語家てね入門して最初に付く名前というのは自分で決める事はできないんです。
自分の芸名やのに自分では決められないんです。
これ全て師匠が決めてくれはるんですね。
弟子本人には決定権がないんです。
それもね皆さん事前に何の相談もなしに決まるんですわ。
ねちょっとぐらい相談あってもよさそうじゃないですか。
そんなんないです。
私もねその最初の都んぼちゅう名前もうた時の事を覚えてます。
師匠の下へ入門して大体1か月ほどたった時でした。
私通い弟子でしたから毎日毎日師匠のうち通てたんです。
ある朝いつものように師匠のうち「おはようございます」とこう訪ねていきますといつもは部屋の奥の方にいてはる師匠が何やその日に限って玄関口で怖い顔して立ってるんですよ。
何かなと思うじゃないですか。
「あ師匠あのおはようございます」。
「はいはい。
お前今日から都んぼ」。
もうこれで決まりなんですよ。
何の相談もない。
その瞬間から都んぼなんです。
これ今やから言いますけど名前付けてもうた時ね私腹の底で思いました。
「え〜?」と。
いやもっと落語家らしいかっこいい名前付けてもらえるもんやと思てたら付いた名前が都んぼですよ。
でこんなん言うてるってねたまにお客様の中から「お前何言うとんねん」と。
「桂都んぼっていうのもねいい名前じゃないか。
覚えてもらいやすい結構な名前や。
ぜいたく言うな」とおっしゃる方が今日もひょっとしたらね何人かいてはるかも分かりませんけどけどそれは皆さんがね昆虫の名前になった事ないからそんな事言えるんです。
(笑い)嫌でしょ?そんなん自分の身に置き換えたら。
「はいお前今日から小林バッタ」って言われるようなもんですよ。
「え〜?」と思うじゃないですか。
ところが我々はね本名で呼ばれるよりも芸名で呼ばれる事の方が多くなるんです。
でまたこれね米紫になってからましになりましたけどね桂都んぼの頃は名前で恥かく事ってありましたね。
ほんでまた噺家てねけったいな名前のやつぎょうさんおるんです。
これ東京の若手の噺家なんですけどね三遊亭歌ぶとってやつおるんですよ。
で彼も今名前変わって三遊亭歌太郎っていうねいい名前になったんですけど私彼と友達でね歌ぶとの頃から。
私が東京行った時には彼の会に出さしてもうたりまた歌ぶと君が関西へ来た時には自分の会に出てもうたりしてたんです。
で大阪にね島本町ちゅうとこありますでしょ。
高槻をちょっと京都寄りに行ったとこに。
ある日島本町からお仕事頂いてちょうどその本番の日に歌ぶと君が関西来てたんで2人で行かしてもうたんです。
島本町の公民館やったかな。
ほな町から頂く仕事てありがたいのがねわざわざ町の偉いさんが我々の楽屋までご挨拶来てくれはってね。
でこっちも恐縮してやっぱりちゃんとご挨拶返さなあかんわ思てまず私が最初ですよ。
「あどうも。
都んぼです」。
(笑い)続いて彼が「あどうも。
歌ぶとです」。
びっくりしました。
向こうの偉いさんが「あそうですか。
私は町長
(チョウチョウ)です」って言うてましたですけどね。
(笑い)
(拍手)あの分からん人ほっときますよ。
(笑い)よく考えて頂きたいと思いますけどもね。
そやけど我々ほんまねいろんな所で落語やらして頂く機会があってありがたいんですけどもね。
今日はねもう会場も広いしちょっとねこちらからは見えないんですけどもねたまにね土日ともなりますとね小学生の子どもさん連れた家族連れのお客さんなんかよく落語会とか寄席に来てくれはるんですよ。
これは本当にうれしいですよ。
ね!いや何がうれしいてやっぱ客席に小学生が座ってる訳ですよね。
小学生今の間に落語ファンになってくれたら先が長いじゃないですか。
(笑い)いや別に皆さんが短い言うてる訳やないんですけども。
そういう訳やないんですけどもね。
そやけどねこれもね子どもさんもね落語に興味ある子どもさんはよう笑てくれはりますねん。
ところがね落語に興味ない子どもさんがたまに親御さんに連れられて落語会とか寄席に来はるんですよ。
であれね何でか分かりませんよ。
何でか分かりませんけどね落語に興味ない子どもさん連れた家族連れに限ってね何でか分かりませんけども大抵いつもね一番前に座るんですよね。
(笑い)今日は大丈夫ですけどもですね。
前に座らはるんです。
でやっぱりね落語に興味ない子どもさん落語の途中で退屈してくるんですよ。
まこれはしょうがない事です。
来てもうたけど楽しめなかったいうのはしゃあない事ですけどね子どもの怖いのあれ気ぃ付けなあきませんね子ども。
あいつらね思た事皆口に出しますね。
怖い。
怖いですよ。
こっち一生懸命落語やってるんですよ。
その真っ最中に前に座った子ども横に座ってるお母さんに大きな声で「お母さんまだ終わらへん?お母さん僕帰りたい。
お母さんこいつ間悪いな」。
いろんな事言うんですよ。
もうやってられませんよこっちも。
こないだもそうです。
そんで見てたらねこないだお母さんねちゃんと叱ってました。
これは偉いなと思た。
今ね我が子を叱れない親というのも多いですけどそのお母さんちゃんと我が子を叱ってました。
ところが皆さん考えてみて下さい。
一番前に座ってはるでしょ。
怒ってるお母んの声もみんなこっち聞こえてくるんですよ。
ほんで怒り方も問題ありますよ。
びっくりしました。
お母んどない言うて怒ってたと思います?「静かにしなさい。
静かにしなさいこの子は!お母さんも我慢してんの」。
いやどないやそれ!
(笑い)え〜いろいろと面白い事があるんでございますけど。
まあ落語の中にもね子どもの出てくる話ちゅうのはぎょうさんありますけど落語に出てくる子どもちゅうのはねまああんまりかわいいばかりの子どもてのは出てまいりませんね。
もう何か生意気なと言いますかね隙でもあったら親を丸め込もかというようなそんな子どもが大抵出てまいりますけども。
「おい!寅公寅公!え!違うがな。
子どもがな学校から帰ってきていつまでもうちん中でゴロゴロゴロゴロしてるやつがあるかい!早い事表遊びに行け!」。
「ふん?」。
「『ふん』やあるかい。
早い事表遊びに行けちゅうねん」。
「あお父っつぁんそれあの…一つだけ言わしてもうてええかな?」。
「何や?」。
「いやそれな表に遊びに行けと言う前にもうちょっと表に遊びに行きやすいようにしてやろうというお父っつぁんの努力が足りひんところが僕はまず問題やと思うわ」。
(笑い)「何を生意気な事言うとんねん。
何やその『表に遊びに行きやすいように』ちゅうのは」。
「フフフ…。
おくない」。
「へ?」。
「おくれ。
頂戴」。
「何や?手出して。
何をくれちゅうねん」。
「『何をくれ』て。
大体分かるがなお父っつぁん。
子どもが親に手出して『おくれ』言うてんねんで。
まさか宛名なしで領収書くれとは言わい…」。
「何を生意気な事を…。
いちいち生意気な事言うなよ。
え?何をくれちゅうねん?」。
「こ…小遣いをおくない」。
「タッ。
二言目には小遣い。
あかんあかん。
お前らにはやらへん」。
「そんなん言わんとおくれな。
お父っつぁん頼むわ。
小遣いおくれてなお父っつぁんお父っつぁん。
小遣い持たんと表に遊びに行ったら肩身が狭いという事はやで貧乏人のお父っつぁんにはよう分かる事…」。
「やかましわお前は!誰が貧乏人や。
やらへんちゅうねん」。
「おくれ…お…くれへんの?ええわ。
お父っつぁんくれへんねやったらわいなお母はんから小遣いもらうわ」。
「プッお母はんから?おい!言うといたるわよう聞けよ。
それが子どもの浅はかなところや。
そやないかい。
お前らお父っつぁんからもらわれへんもんなお母はんからももらわれへんわ」。
「あ〜お父っつぁんあのな言うといたるわよう聞けよ」。
(笑い)「それが父親の浅はかなとこや」。
「おいちょっと待て。
親に向かって浅はかとは何やねん!」。
「つまり何やろ?お母はんに小遣いおくれ言うたら『あかん。
お父っつぁんからやったらいかん言われてるさかいあんたにはやらへん』とこういう訳やろ?ほななわいがお母はんにひと言言うねん。
『ええわ!お母はん小遣いくれへんやったらなこないだお母はんが留守の時に見たな…え!いやお父っつぁんが留守の時に見たお母はんの一部始終をな皆お父っつぁんの前で言うてしもたるぞ!』とこう言うとなお母はん急に顔色変えよるで。
『まあ!この子は何を言うねんな。
あの事だけはお父っつぁんの耳に入れたらあかん言うてるやろ。
もうしゃあないな。
あんたこれあげるさかいなあの事だけはお父っつぁんに内緒にしとかなあかんで』言うてお母はんわいに恐らく5銭はくれると思うねん。
ヘヘヘヘヘヘヘ…。
ほなお父っつぁん私遊びに行ってまいります」。
「待て。
待て!戻ってこい。
お前気になる事言うたな今。
何や?その『お父っつぁんが留守の時に見たお母はんの一部始終』て。
それ一体何や?」。
「な…はっしもた!しもた!この事はお父っつぁんの前で言うたらあかん。
わっ!えらい事言うてしもた!わっわっ!あほあほ!えらい事言うて…。
あお父っつぁんあの…ん。
何でもない」。
「何かあるやろお前は!何かあるやろ。
何を見たんや?言え。
え!何を見たか言え!」。
「つらいなこれ。
つらいな〜。
いやひょっとわいが口を割ったがばっかりにこの平和な家庭に波風が立つてな事になっても僕もつらいさかいなあ。
お父っつぁんどやろ?やっぱりこういう事はなあ弁護士通して話した方が…」。
「何が…何が弁護士やお前は。
言え!何を見たんや!」。
「しゃあない。
ほな…言うてまうわ」。
「うん。
言うてしまえ!」。
「言うてしまうけどその前におくない」。
(笑い)「じき手出しやがってお前は。
分かった。
聞いてからやる」。
「へ?お父っつぁん何言うた今?『聞いてからやる』?そんなむちゃな話あるかお父っつぁん。
お父っつぁんあの…寄席とか落語会行った事ないのんか?」。
「何や?妙な事聞いて。
お父っつぁん落語好きや。
寄席でも落語会でも始終行ってるがな」。
「そやろ?ほなちょっと尋ねるけどな寄席とか落語会とかいうところは何?お金を払ってから話を聞くの?それとも話を聞いてからお金を払うの?はいどっち?」。
(笑い)「『どっち?』てお前そら大体ああいうところは金払てから話聞くわ」。
「そやろ?そやろ?大体寄席とか落語会はお金払てから話を聞くねん。
ま今日のお客さんは往復葉書の人…」。
「何の話や!」。
(笑い)「何の話をしとんねんお前は。
え!つまり何やな。
話聞く前に『小遣いくれ』言うとんやな。
ほんまにしゃあないやっちゃな。
分かった。
これやる。
これやるさかいな早い事話せえ」。
「わ〜おおきにお父っつぁん。
ありがとう。
やっぱり小遣いこ…」。
「お父っつぁんこれは何?」。
「『これは何』て見たら分かるがな。
一銭玉や」。
「へ?1銭!?ちょっと待って。
お父っつぁん父親がこのかわいい息子に渡す小遣いがたった1銭!え〜っ!アベノミクスも実感なかったな」。
「いらん事言うな!早い事話せえ」。
「うん話するわ。
こないだなお父っつぁんがな泊まりがけで京都へ遊びに行った事があったやろ?」。
「ほうほう仕事仲間と寄り合いも兼ねて京都に旅行行ったんや。
あの時の事か?」。
「そやねん。
あの時の事やねん。
お父っつぁんがな家出ていって間なしやで。
うち訪ねてきたおっさんが一人いてんねん」。
「おっさん?どんなおっさんや?」。
「さあこれがな何やおしゃれな格好したおっさんでな真っ白の洋服に手にステッキ持ってるおっさんやねん」。
「ほうそのおっさん来てお母はんどないした?」。
「さあこのおっさん来るなりお母はん急にうれしそうな声出してな『まあこの人は来てくれたんか!』」。
「どっから声出しとんねん。
何ちゅう声を出すねん」。
「さあそない言うなりなこのおっさんの手握ってうちへ上げよんねん」。
「ちょっと待て。
へ?わしの留守中によそのおっさんの手握ってうち上げ…。
そ…それからどないなってん?」。
「それからな…」。
「うん」。
「それからなんとお父っつぁん」。
「うんどないなってん?」。
「それからそれか…残念!こっから別料金頂戴致します」。
(笑い)「は?別料金!?何やそれは」。
「お父っつぁん1銭ではここまでやねん。
こっから追加料金発生致しますけど追加されますか?」。
(笑い)「うまい事考えやがってこいつは。
え?ほな何や?もう1銭出したらええのか?」。
「お父っつぁんこっからは物価高騰につき2銭頂きます」。
(笑い)「うまい事考えやがってほんまに。
2銭渡すさかいなえ!早い事続き言え」。
「うん。
ほなな今度お母はんわいの方ちらっと見んねん。
ちらっと見て『まあこの子はいつまでそんなとこにおんねんな。
子どもがいつまでもうちん中おるんやないの。
早い事表遊びに行きなはれ』言うて。
え!お父っつぁんどう思う?お母はんわいを家から追い出そう追い出そうとすんねん」。
「けしからんやないかい。
おいお前言われるままに表行ったんと違うやろな?」。
「お父っつぁん見くびらんといて」。
(笑い)「わいなそこは分かってるわ。
ちゃんとポンとひと言言うたってん」。
「ほうどない言うてん?」。
「嫌や!わい今日は表遊びに行きたい事ないわい」となこない言うたってん」。
「偉い!さすがわしの伜や。
な今度お母はんどないした?」。
「今度お母はんな『まあしゃあないな。
これあげるさかいあんたな表遊びに行き』言うてなわいの手に2銭握らすねん。
え!お父っつぁん。
お母はんわいを2銭で買収しようとすんねんで」。
「いよいよもってけしからんやないかい。
今度お前どないしてん?」。
「わいなまたポンと言うたった」。
「ええぞええぞ。
ポンとどない言うてん?」。
「『ありがとう!』って」。
「お前礼言うとるやないかい」。
「で表遊びに行てん」。
「ちょっと待てお前。
何にもならんやないかい!」。
「お父っつぁん安心して。
わいもちゃんと考えてるで。
『ありがとう』言うて表遊びに行くふりをしてクルッと町内一回りしてまたうちの前へ戻ってきてん」。
「ほう」。
「ほななわいが家出た時には確かに開いてた障子が…」。
(笑い)「閉まってんねん」。
「ほう」。
「で中からなお母はんの声で『あんそうそこ』いう声が聞こえてきてなもうほんまお父っつぁんの時とえらい違い…」。
「お前何の話や!」。
(笑い)「それからどないなってん?」。
「それからな…」。
「ほう」。
「それからなんとお父っつぁん」。
「ほうどないなってん?」。
「それから…残念!」。
(笑い)「こっからまた割り増し頂きます」。
「いっつもええとこで切りやがってこいつは。
今度なんぼ出したらええねん?」。
「フフフフ…。
3銭」。
「だんだん上がっていくやないかほんまにもう。
3銭渡すさかい今度しまいまでちゃんと話せえよ」。
「うん今度しまいまでちゃんと話する。
でわいな中が気になったさかい唾に…指に唾つけてなプツッと障子穴開けてその穴からなこう中のぞいたってん」。
「ほう」。
「ほななお父っつぁんよう聞きや。
この家ん中上がり込んでるおっさんちゅうのがよう見たらわい知ってるおっさんやねん」。
「え?え?え?お前の知ってるおっさん?」。
「わいだけと違うで。
お父っつぁんもよう知ってるおっさんやねん」。
「え〜っ!?そら一体誰やねん!」。
「誰やと思てじ〜っと見たらな」。
「ほう」。
「じ〜っと見たら…」。
「誰やねん!」。
「横町のあんまのおっさんがお母んの肩もんどったわ。
ほなわい遊びに行ってきます。
さいなら〜」。
(笑い)「待て〜」。
(笑い)「待てこら!何言うた?あいつ。
あんまのおっさんならあんまのおっさんと初めからそない言え!こら!白い洋服にステッキ?」。
(笑い)「白衣と杖ちゅうねんそれは!」。
(笑い)「あんじょうだまされたがな。
ほんま腹立つ」。
「ただいま」。
「またお前今時分までどこうろうろしとんねん!」。
「何を怒ってんねんなあんた。
分かった。
今そこで寅ちゃんと擦れ違うたけどあんたまたうまい事丸め込まれて小遣い取られたんやろ。
ほんまに。
あんたもまた何べんだまされたら気が済むの?え?毎日やないかあんた。
気ぃ付いたらどやねん。
けどなどんな手でだまされたん?ちょっとあてにも聞かして。
どんな手でだまされたん?」。
「『どんな手』てそらお前…言いたくない」。
(笑い)「構へんがな。
ちょっとどんな手でだまされたか聞かして」。
「言いとない言うてるやろ」。
「構へんがな。
あてもな同し手使われたら嫌やから聞いときたいの。
どんな手でだまされたん?ちょっと聞かしてて」。
「え?それお前ほんまに聞きたいか?ほんまに聞きたいねんな!よっしゃ分かった聞かしたる。
聞かしたるけどなその前にまずここに1銭出せ」。
(笑い)
(拍手)いや〜先生本当に楽しかったです。
ね〜。
はい。
もうおかしくて大変。
今のはこいつです。
この桂米紫さんの「真田小僧」でございましたけどいかがでした?いや〜めっちゃ小生意気な子どもさんが出てきたなと思ってたんですけどでもすごくかわいらしくもあり演じておられたのでめっちゃ勉強になりました。
落語にはこういう変な子ども出てきますけど浪曲に出てくる子どもちゅうのは大抵親孝行とか努力してるとか。
もう見る人は涙こぼすというようなそういう子どもばっかり出てくるようやけど落語には出てきまへんなあんまりね。
育てやすい素直な子どもがありがたい事に多いのでまあ演じやすいですね。
その点この桂米紫さんも子どもの頃はきっとあんなガキやったと私は思うんです。
いやいや…。
でも大変勉強になりました。
結構でございます。
今日聴いて頂いて落語に対するイメージ何か変わった事ありますか?もうやっぱり一人でこう演じられてるその世界にまた引き込まれたのでもうすごい楽しかったです。
でもやっぱりこう生の空気といいますか…先生その空気感を鳥肌が立ったりとかいろいろしながら見させて頂いたので是非皆さんにもこのNHKホールさんにも…。
ね。
ほんまそうです。
テレビ見て頂くのも本当ありがたい事ですけどもこれは落語だけではございません。
浪曲もいわゆる芸能というのは全てそうですな。
来てるお客さんも一緒になって作ってもらうもんですんで是非ともこれから落語も浪曲もよろしくお願い致します。
というところで今回どうもお疲れさまでございました。
すてきな落語もたくさん勉強させて頂きました。
では「上方落語の会」これでお別れでございます。
ではさよなら。
2015/06/19(金) 15:15〜16:00
NHK総合1・神戸
上方落語の会 ▽「野ざらし」笑福亭喬若、「真田小僧」桂米紫[字]
▽「野ざらし」笑福亭喬若、「真田小僧」桂 米紫▽第352回NHK上方落語の会(27年5月7日)から▽ゲスト:菊地まどか▽ご案内:小佐田定雄(落語作家)
詳細情報
番組内容
笑福亭喬若の「野ざらし」と桂米紫の「真田小僧」の二席。▽野ざらし:夜、隣に女がやって来ているようで、気になった男が翌朝、隣の男に聞くと昼間釣りで拾ってきた骸骨に酒をかけて回向したら幽霊になって礼を言いにきたと言う…。▽真田小僧:子どもが父親に小遣いをねだるがもらえない。それじゃ母親に、留守の時に来たおじさんのことを近所中に話すといえば必ずくれるというが…。▽ゲスト:菊地まどか、ご案内:小佐田定雄
出演者
【出演】笑福亭喬若,桂米紫若,【ゲスト】菊地まどか,【案内】小佐田定雄
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