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中国、民間企業の銀行参入規制撤廃 中小や農村融資促す

2015/6/26 20:13
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 【北京=阿部哲也】中国の銀行業監督管理委員会(銀監会)は26日、民間企業に対する銀行参入規制を撤廃すると発表した。民間資本100%の新銀行を設立できるようになる。インターネット取引や個人向けローンなど柔軟な金融商品の設計を認め、中小企業や農村部への融資拡大を促す。融資規制の緩和とあわせ、減速感が強まる景気を下支えする狙いだ。

 銀監会トップの尚福林主席が記者会見で明らかにした。2014年7月から試行的に民間企業が出資する5行の「民営銀行」の設立を認めてきたが、今後は全面開放する。

 尚主席は「国有、外資、民間のすべての企業に対し、公平公正に新銀行設立の審査を進める」と強調したが、「外資は外資を管理する条例に基づき審査する」(尚主席)とした。外資にどこまで自由度のある出資や経営が認められるかは不透明だ。

 中国ではこれまでも銀行に民間資本が入るケースはあったが、地方の中小銀行や日本の農業協同組合に似た農村信用社が大半で、いずれも国有銀行や地元政府の資本が入っていた。経営陣の人事権も基本的に国や地方政府が管轄するなど、制約が多かった。

 銀行業では資金力が潤沢な大手国有銀行が貸し出しシェアの大部分を占めており、融資先は同じ大手国有企業など安全な借り手に偏る傾向が強かった。融資基準や金利なども横並びで、大手国有銀の「寡占」の弊害が目立っていた。

 今後はこうした規制を撤廃し、顧客の要望に柔軟に対応できる純民間銀行を増やす。

 設立に際しては大株主となる民間企業に対し、(1)直前3年間は利益が出ている(2)純資産が総資産の30%以上を占める――といった条件を付ける。設立の申請を受け付けてから4カ月以内に審査結果を出すとしており、従来に比べ期間を2カ月短縮する。すでに「40社以上が新銀行の設立を申請し、審査に入った」(尚主席)という。

 15年1月には、認可第1号の「民営銀行」として深圳前海微衆銀行(広東省深圳市)が営業を開始した。チャットアプリ「微信」を運営するネット大手の騰訊控股(テンセント、広東省)が30%を出資しており、ネット業務に特化した新銀行だ。テンセントと連携し、個人向け融資の拡大など相乗効果を目指す。

 中国政府はこうした民間のノウハウを導入し、資金繰りに悩む中小企業などへの融資拡大を促したい考えだ。

 「今後は民間の参入を促し、金融サービスの特色ある発展を促す」(尚主席)。中国政府は24日には、銀行の貸出残高が預金残高の75%を超えてはならないとする比率制限を撤廃する方針を決めた。融資に関する銀行の裁量の余地を広げ、資金の還流を促す。

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