米フェイスブックの研究者たちは「教師なし学習」と呼ばれる人工知能(AI)の最難関とされる領域に一歩近づいた。偽物にはなかなか見えない写真のサンプルを作る手法を編み出したのだ。
■4割を本物と勘違い
コンピューターで作製された飛行機や自動車、鳥、その他のモノの画像サンプルを実際に見たボランティアの被験者たちは、そのうち40%を本当の写真だと勘違いしたことが、18日にオンラインに投稿された研究論文で明らかになった。フェイスブックはこの論文をカナダのモントリオールで開かれる神経情報処理システム国際会議(NIPS)で検討してもらうために提出した。
この研究は多くの新興企業やフェイスブックなどの大企業が様々な目的で使う「教師あり学習」の領域を超えている。
これまで使われてきた「教師ありディープラーニング(深層学習)」では、例えば「この100枚の写真はガチョウ」といったラベルを付けた大量のデータを読み込ませて人工ニューラルネットワーク(神経回路網)をあらかじめ訓練させておく。その後に、1羽のダチョウの写真など新たなデータを与えて、それがガチョウを表しているかどうかを学習したデータに基づいて推測する。
これに対し、「教師なし学習」は事前に学習対象となるラベル付きの写真を与えるようなことはせず、コンピューターがデータを見て勝手に学習していく。いわば人間がモノの識別を学ぶやり方と同じようなものだ。人間なら、携帯電話を1台か2台見たことがあれば、すぐにそれを認識できる。
フェイスブックはおそらく、「教師あり学習」を既に使っている画像認識や動画認識、自然言語処理、音声認識といったタスクの一部について、精度をもっと上げる(あるいはさらに自動化する)ために「教師なし学習」を研究しているのだろう。だが、この技術がさらに進めば、新たな用途自体が実現するかもしれない。
■本当に「純粋な研究」?
フェイスブックの科学研究員で今回の論文の筆頭著者であるロブ・ファーガス氏はベンチャービートのインタビューで、同社は今のところ「純粋な研究」を手掛けているにすぎないと語った。
この「純粋な研究」は極めて魅力的だ。米グーグルは先週、同社のニューラルネットワークが全く幻想的な画像表現を作成できることを示した。ファーガス氏はこれらの画像を「非常にカッコいい」と評価しつつも、基本的には「教師なし学習の問題解決には役立たない」と断言した。幻覚のような画像よりも本物に見える画像を作るほうがずっと難しいという。
フェイスブックはこれを成し遂げるために、一つではなく二つの訓練されたニューラルネットワークを使っている。その片方は生成、もう片方は識別を担う。生成を担うネットワークに任意のベクトルを与えると、画像を作り出す。識別を担うネットワークは出力画像が本物に見えるかどうかを左右する。
フェイスブック、AI、グーグル、ニューラルネットワーク
米フェイスブックの研究者たちは「教師なし学習」と呼ばれる人工知能(AI)の最難関とされる領域に一歩近づいた。偽物にはなかなか見えない写真のサンプルを作る手法を編み出したのだ。
■4割を本物と勘違い
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