クラウド会計ソフトを「freee」を提供している「freee」が、無料で会社設立に必要な書類を出力できるツールを発表しています。
記事では、クラウド会計ソフト「freee」を導入しているのは設立間もない起業のため、ゆりかご状態から囲い込む戦略であると言われています。また、代表の佐々木氏は記事の中で会社設立にかかる日数とコストを下げることで、世界銀行が発表する“起業環境の良さ” を現在の83位から45位までに押し上げる事が出来ると述べている。
これについての感想をまとめてみます。ちなみにfreeeとは縁もゆかりもないので、完全な妄想でチラシの裏です。
意識高い人向け!?
この記事に対するネットの反応を拾ってみると、概ね好評なのですが、中には「喜ぶ人は実際には起業しないだろ」や「本気の人は無くても大丈夫」などのマイナス意見も散見されます。喜ぶのは意識高い系だけ、という感じです。
私は普通のサラリーマンなので、この会社設立というのがどれだけ大変で、この製品がどれほど画期的なのかよく分かっていません。
意識が低いので、意識が高い人が盛り上がっているのを見ると、なんとなくついていけない雰囲気を感じるし、今いるマーケティングオートメーション界隈でも、コメントで受けが良いのと、実際の課題解決が乖離している事を経験しています。やっていない人が想像するメリットと、やっている人が感じるメリットって結構違うんですよね。
そのため、批判的な意見に一定の共感します。起業なんて大きな意思決定をする人からすると、これが無くても起業するだろ?って斜に構えた感想がややもすると頭をもたげます。
ただ、それでもこの製品とこの会社はスゴイなって思うわけです。
働いている人のテンション高そう
freeeのWebサイトを見てみると、同社は「スモールビジネスに携わるすべての人が、創造的な活動にフォーカスできるよう」というミッションを掲げて、「誰でも簡単にビジネスができる(開業率の向上)」ということを成果の一環として捉えているようです。(コレがはじめからあったのかは知らないんですが……)
で、今回の製品は、テクノロジーを使って成果をあげにいっている、と捉える事ができます。実際には、「起業する人は増えないかもしれないが、起業する人はもっと楽になるべきだ」とかの周辺領域も含めて考えていそうです。外野なので知らんけど。
ミッションをWebサイトで掲げている会社は沢山あっても、行動が伴っている企業は本当に少ないです。で、こんな感じでミッションを実行に移すと働いている人のテンションはあがってそうだなって思う次第です。
良い製品や良いマーケティングは、結局人依存だと思っています。良い意味で。で、人が良いコトをするにはやっぱりテンションが必要なんです。ハイになるというか高揚感が必要。
じゃあ、どうやってハイにするかっていうと、「世のため!人のため!!」なんてかけ声だけでアジってもアカンです。そんなのでハイになる人がいたら、それは採用が失敗している。
良い製品や良いマーケティングを実行できる人をハイにさせるには、キチンと正しい(と定義している)事を“実行”にうつせる環境があることなんですよね。
こう考えると、この起業のための製品を発表するという事は、働いている人のテンションは高そうだし、テンション高い人が集まっていると考えれば、今後も良い製品や良いマーケティングが実現できそうだなって思うのです。
ブランドの体現としての製品
この製品の発表をみて、真っ先に頭に浮かんだのがセールスフォースのAppleWatchアプリです。なぜコレが浮かんだのか?って考えると「製品でブランドを体現する」という手法が似ていたからなんですよね。
ぶっちゃけ、あのセールスフォースのAppleWatchアプリを使う人ってほとんどいないでしょ。ブラック企業相手に従業員の監視とかじゃなく、まっとうに必要な情報をタイムリーにって打ち出しているけれど、流石にWatchで商談パイプラインを見たりはしないよって思う。
でも、あれがあることによって、「ああ、やっぱりセールスフォースってモバイルとか増え続けるデバイスに本気なんだな」って思ったり、「テクノロジーで世の中良くしようとしてんるんだな」と思うんですよね。これを雑多な言い方をすれば「ブランディング」でしょうか。
ブランディングを、CMとかイメージじゃなくて製品で体現しているって結構スゴイ事だと思うのです。ザ・テクノロジーカンパニーっていう感じ。
freeeの起業サポート製品もコレと同じように、ブランドを製品で体現してるなっと感じたのです。よく知らんけど、スモールビジネスの課題解決を本気でやろうとしている会社でなんだなーって感じる。事実、ネットの反応みてもこのような反応は多い。
「芸能人とタイアップしても手に入れる事ができないブランドがそこにはある。」です。
データを超えて無駄な事をして差別化
Webで求人を見てみると、freeeという会社はかなりデータの分析に力が入っているんでよね。社長さんの経歴みるとデータ分析のAlbertやGoogleの出身だし、マーケティングの募集要項にも「データ大事」って書いてある。
こんなデータを大事にしている会社が、データを踏み越えてこんな製品だす意思決定をするのがスゲーなって素直に思います。
こんな製品を無料で出すとかって、数字突き詰めると頭おかしいですよね。中途半端に数字みてると「認知をどうやって定量評価するんだ?」「費用対効果は?」とかでテンション下げるような事がありそうですが、それをあえて踏み越えて無駄(失礼、製品は本当にいい製品だと思ってます)な事をするっていうのがスゲーなって。
KADOKAWAの川上さんだかが「無駄な事をするのが差別化」っていうような事を言っていた気がするが、それを製品を使ってしている感じがする。
データに弱い会社がノリでやってるのでは無く、普段はキチンと数字に向い合いながら、いざとなればそれを飛び越えることもする、いやはやなんとも株式公開していたら買いたいです。
ここまで書いて思ったけど…… なんで縁もゆかりもない他所様の製品に頑張ってテキストかいてんだろw と感じたのでおしまい。