韓国大企業30社の約3分の1が、労働組合員の子女らを優先雇用する、いわゆる「雇用世襲」条項を労働協約に設けていることが24日、分かった。若者の就職難が深刻化している中、これに対する社会的責任の大きい大企業の労使が依然としてこうした条項を置いていることは問題だと指摘されている。
雇用労働部(省に相当)が労働組合のある売上高上位30社の大企業の労働協約を分析したところ、今年4月現在、11社(36.7%)が「雇用世襲」条項を設けていた。政府が大企業の労使間の協約を分析し、その内容を公表したのは今回が初めて。
11社はGSカルテックス、SKイノベーション、起亜自動車、現代重工業、現代オイルバンク、LG化学、韓国GM、大宇造船海洋、SKハイニックス、現代製鉄、LGユープラス。
中には、定年退職者だけでなく永年勤続者の子女も優先雇用するとしている企業や、業務と関係のない病気で退職した組合員の直系家族を優先雇用するとした企業もあった。
雇用労働部は組合員の子女の優先雇用を定めた労働協約の条項について、組合員やその家族ではない一般志願者の平等権や職業選択の自由を侵害するもので、就業時の均等な機会を保障する雇用政策基本法や職業安定法にも違反していると指摘した。2013年、蔚山地裁は従業員の子女の優先雇用条項を設けていた現代自動車の労働協約に対し「事実上、雇用を譲り渡すことになり、韓国社会の正義の観念に反する」として無効との判断を示した。
このほか、現行法が複数の労働組合を保障しているにもかかわらず、特定の労組を唯一の交渉主体と規定している企業も10社(33.3%)あった。
雇用労働部のイム・ムソン労使協力政策官は「これらの条項は大企業の組合員の既得権を保護するものであり、若者の新規採用に悪影響を及ぼす」と指摘している。