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「2ヵ月でこの身体」を謳うライザップは危険なのか?(下)

降旗 学 [ノンフィクションライター]
2015年6月20日
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 「入会から一ヵ月以上が経っていますが、今回は特別に全額返金いたします」

 幹部社員に一度はそう言われたが、事情が変わった。

 「実際に店に退会したいと電話すると、対処できないと突っぱねられ、その後、幹部社員は「やはり全額の返金は無理」と言い出したのです。いまでは娘の症状も落ち着きましたが、ライザップのことは早く忘れたい様子です。わたしたちは例のCMがテレビで流れると、さりげなくチャンネルを変えます」

 若い小僧トレーナーに〈やんないとダメっすよ〉と言われた男性の場合だ。

 「私は入会して一ヵ月以内に「退会手続きの書類を送ってくれ」と伝えた。が店舗のマネージャーは「一ヵ月を過ぎているので返金できない」と言うのです(中略)

 そこでゴネたら地域を統括する責任者から電話がかかってきて、最後は本社の幹部らしき人が出てきたのですが、やはり「返金できない」の一点張り。そこで、ケンカする相手を間違えてんじゃない? とちょっと強く出たら、すぐに返金しますとなった。どうも相手を見て対応しているような感じでした」

 人はコンプレックスが好きな生き物だ。私からすればもっと太ったほうが健康的に見えるような女性でも、まだ痩せたいと言い、不要としか思えないダイエットに勤しんでいる。それが不思議でならないのだが、だからライザップのようなビジネスが成り立ってもいるのだろう。

 だが、痩せたい心理、格好良くなりたい心理につけ込むようなやり方は、好きになれない。それに、〈二ヵ月でこの身体〉が〈二ヵ月でヘルニア〉だったら洒落にもならない。

 週刊新潮の質問に、ライザップはこう応えた。

『ご質問事項は、いずれもゲストのプライバシーに関わる事項であり回答致しかねますが、弊社としては、今後とも、ゲストの安全・健康を最優先として、最高の結果を出し続ける所存であることを申し添えます』

 そして、直撃した瀬戸健社長も、数々の疑惑を否定したうえで、こう応えた。

 「(前略)我々は、どこよりも結果を出すことにこだわっています」

 たった二ヵ月で肉体を改造することがどれだけ身体に負担をかけ、危険なことなのか、どうやらこの社長はおわかりにならないらしい。やっぱり怖いぜライザップ。

 ライザップは六月一八日、会社の承認規定を撤廃し、入会から三〇日以内であれば全額を返金する旨を発表した。

参考記事:毎日新聞:5月18日・19日・6月19日付
週刊新潮:6月18日・25日号

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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