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「2ヵ月でこの身体」を謳うライザップは危険なのか?(下)

降旗 学 [ノンフィクションライター]
2015年6月20日
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 「トレーナーは「期間を延長すれば大丈夫」とか「治るまで待ってます」などと言って退会に同意してくれない。毎月、月初めに自宅に送られてくるプロテインとサプリメントのセットも「もう送ってこないで」とトレーナーに連絡したのですが、「できません」の一点張りで困りました」

 お婆さんの証言を見るかぎり、ライザップのトレーナーはゲストの引き留めには躍起になるが、お婆さんの「身体の心配」はしていないようだ。それじゃダメっすよ。

 ライザップでは、〈世界標準の身体活動に関するチェックリスト〉を用いて入会希望者の健康状態を確認。基準にそぐわない人の入会は拒否している――、とHPに載せているが、持病のある七三歳女性の入会は、本来なら拒否すべきではないのか。

 お婆さんの例ばかりでなく、高重量のバーベルを持たされてスクワットをしたせいでヘルニアになってしまった女性会員もいる。ライザップでもっとも多い事故が、厳しいトレーニングによるヘルニアだ。

 四五歳の男性は十一回目のトレーニングで、八十五キロのバーベルを持ち一〇回のスクワットができた。するとバーベルの重さは九〇キロにあげられ、最終的には一二〇キロにまで達したという。七、八回目のスクワットで背中に激痛を感じ、病院に駆けつけると胸椎内部の骨折と胸椎椎間板ヘルニアが判明した。医師が言うには、一歩間違えれば緊急手術が必要で、そのまま放置していたら半身不随になる可能性もあったとのことだ。怖いぞライザップ。

 別の五三歳男性も、バーベルの負荷がどんどん高くなり、やがて手の痺れを感じ、手に力が入らなくなるまでになった。それを告げると、トレーナーは革バンドで男性の手をバーベルに固定し、トレーニングを続けさせた。結果、この男性は重度の頸椎椎間板ヘルニアになっていたことがわかった。一年が経ったいまでも、手の痺れの後遺症が残っているそうだ。怖いぞライザップ。

 過激な食事療法が原因で「色素性湿疹」という皮膚病になった女性会員もいる。だが、もっと怖いのは、血圧が高く、降圧剤を飲んでいる客に激しいトレーニングを強要し、失神させた事件だ。衝撃的なのは、トレーニング中に脳卒中になった会員もいたことだ。まるで殺人ジムだ。おっかないぞライザップ。

 ついでながら記せば、昨年、神宮前店のトレーナーが、客の現金とロレックスを盗み、警察に逮捕されるという事件も起きている。水泳選手かお前は! とツッコみたいけどやめておきます。

 そして、NPO法人ひょうご消費者ネットが文言削除を要請した「全額返金保証」の問題だ。皮膚病になったさきの女性の場合、ライザップの対応は二転三転した。女性の代わりに、母親が取材に応えている。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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