総務省「携帯電話の電波はペースメーカに影響なし」→今後、優先席で携帯を使ってもいいの?

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2015.06.25ニュース

ごきげんよう、菊太郎です。

昨日のネットニュースでお伝えしたとおり、総務省が「携帯電話がペースメーカに影響を及ぼす可能性は限りなく低い」という指針案を発表しました。

長いこと「ペースメーカが誤作動をするから、近くで携帯電話は使ってはいけない」と言われてきたのにも関わらず、まさに180度の方向転換。

そもそもなぜこんなにも長いこと真逆の事が言われ続けていたのでしょうか?そして今後は、優先席で携帯電話を使って良いのでしょうか?今回はそんな疑問にお答えします!

携帯電話がペースメーカに与える影響とは

6月23日、総務省が「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針」の改訂を発表しました。

これによると「携帯電話はペースメーカから15cm以上離して使うべき。しかし携帯電話の電波がペースメーカに影響を及ぼす恐れは極めて低い」と記載されています。

「影響を及ぼす可能性が低い」と記載されたのは今回が初。必要以上に不安になる患者が多いために、このような記載をしたようです。

ただし総務省の発表によると「一部のペースメーカでは、3cm以内に携帯電話が近づくと誤作動が起きる」という実験結果が出たため、「15cmは離して使うように」という基準は今までと同様に記載することになったとか。

とは言え他人のペースメーカに3cmまで近づくのは意図的に携帯電話を胸元に近づけない限りありえないですし、そもそも検証実験の条件は、

  • 携帯電話の電波をずっと最大
  • ペースメーカーの感度も最大

という現実にはほぼあり得ない状況で行われたため、日常生活ではほぼ問題がなさそうです

では、なぜ危険が極めて少ないのに関わらず、今まで「携帯をペースメーカの近くで使ってはいけない」と言われていたのでしょうか?

何で今までダメって言われてきたの?

ペースメーカの前で携帯電話を禁止していたのには、それなりの理由があったのです。

そもそも「携帯電話の電波はペースメーカに影響を及ぼすので優先席付近では使用禁止」とされ始めたのは、携帯電話が普及し始めた1990年代後半ごろから。

そのころの携帯電話は2Gだったので電波の影響が考えられましたし、当時のペースメーカは今よりも性能が低かったので、誤作動を起こす可能性も否定できませんでした。

さらに携帯電話があまりにも急速に普及しすぎたため、どれくらいの影響があるのか誰にも分からない…という状況が続いていたようです。

そのため、「万が一事故があったらいけないから、予防するためにも優先席では携帯電話はOFFにしよう」となり、それが今まで続いてきたわけですね。

しかし実際ふたを開けてみたら何てことは無く、携帯電話の電波が原因でペースメーカ使用者が死亡した例はゼロ。結局は取り越し苦労で終わりました。

特に今は3GやLTEとなり電波の影響が少ないので、ペースメーカに及ぼす恐れはかなり低くなったようです。

さて携帯電話を使っていてもペースメーカへの影響は少ないと分かりましたが…では今後、優先席付近で携帯電話を使っても大丈夫なのでしょうか…?

優先席で使っても大丈夫なの?

「ペースメーカに影響がないなら優先席で使っても平気だろう」と思いたいところですが、優先席での携帯電話の使用を禁じている鉄道の場合、やはり使うのは厳禁

「優先席では携帯電話は使うな」「携帯電話はペースメーカに影響はないから安全だ」と口論になった事件は数多く、ネット上でも賛否ありました。

しかし鉄道会社による「ルール」として決められている以上、優先席で携帯電話を使った方に非があります。

「ペースメーカーに及ぼす影響がほとんど無いのに、なんで使っちゃいけないんだろう?」と疑問に思うかも知れませんが、

  • 100%安全とは言えない
  • 通勤ラッシュ時は他人との距離が近くなるため危険
  • マナー向上のため

等を理由に、優先席では電源を切ることを義務づけている事業者がまだまだ多い状況。不安に思う乗客も多いようです。

しかしそんな中でも、徐々にですが優先席で携帯電話を使ってもOKという事業者が出てきました。

2014年、関西鉄道協会(関西の私鉄各社)と西日本旅客鉄道(JR西日本)が「優先席では携帯電話の電源をお切りください」というアナウンスを一部撤廃混雑時以外では優先席でも堂々と携帯電話を使えるようになりました。

関東では引き続き「優先席では電源をお切りください」が一般的ですが、東日本旅客鉄道(JR東日本)の車内放送でも、

  • 以前:車内での携帯電話のご利用は、ペースメーカ等に影響を及ぼす恐れがあります。優先席付近では電源をお切りください
  • 現在:優先席付近では携帯電話の電源をお切りいただき、それ以外の場所ではマナーモードに設定の上、通話はご遠慮ください

と、ペースメーカに関する文章が無くなっており「携帯電話がペースメーカに与える影響は少ない」ということが認識されはじめている様子。

今回総務省が指針案が発表したことで、今後は関東でも優先席で携帯電話が使えるようになる可能性も高いかもしれません。

というわけで、携帯電話とペースメーカの関係についてご紹介しました。今回の指針発表でペースメーカを付けてる方も安心して生活できるようになるといいですね。そして各鉄道会社がどのような対応をするのかも注目です!

菊太郎はこう思う!
車内なのに携帯電話で喋っている人って、若い人よりもお年寄りのほうが圧倒的に多いそうです。しかも優先席に座っているにも関わらず、大声で喋る人続出とか(´・ω・`)
参考:総務省

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