ギリシャの改革案は「話にならない」ほどお粗末だった
6月22日月曜日、ユーロ圏の首脳、財務大臣、EU理事会議長、IMF専務理事、ユーログループ議長、ECB(欧州中央銀行)総裁など、欧州の金融界を仕切っている大物政治家がブリュッセルに集合した。
ここで、ギリシャの運命が決まるという前評判だった。ギリシャがユーロ圏に残れるとしたら、これが最後のチャンス。決裂すればいよいよデフォルトといわれ、ドイツでも、すでに土曜日あたりから、ありとあらゆる想定のシナリオがトップニュースで流され続けた。
「ギリシャはどうなる? EUはどうなる? そしてドイツは?」
緊張感と不安に満ちた空気が最大限に演出された。土曜日の深夜、ブリュッセルのEU本部の窓に煌々と明かりが灯っている映像、ギリシャ国民の動揺、アテネの議会の決然とした様子などが刻々と伝えられた。あたかもユーロッパを直撃するかもしれない巨大台風の、定まらない進路をライブで追っているかのようだった。その不気味な臨場感は、ドイツの茶の間にまでしっかりと忍び込んできた。
とはいえ、「これが最後。今度こそ、決裂すればデフォルト」という言葉を聞いたのは初めてではない。今年になってからも、すでに何度も聞いた。そのデフォルトを避けるため、EUの首脳や財相、そして多くの関係者が、これまでいくたびブリュッセルに飛び、どれだけの時間を費やしてきたことだろう。
次の援助を受けるためには、ギリシャは新たな財政立て直しの改革プランを立て、それを提示し、出資者であるEU、IMF、ECBに承認してもらう必要がある。しかし、これまで、援助を受けるギリシャの主張と、援助する側の要求は大幅に違っていた。過去にギリシャがいつも期限ギリギリに提出した改革案のリストは、援助する側にしてみれば、すべて「話にならない」お粗末さだったのだ。
その度に、EU、IMF、ECBの面々は唖然とし、怒り、しかし、再び気を取り直し、時間をやり繰りし、また寄り集まってはギリシャと折衝し、「これが最後」と言いながら、リスト訂正のための猶予を与えた。そして、次のリストを見ては、また怒り、失望し、気を取り直すということが繰り返されたのだ。
6月9日、最後通牒を突きつけられたギリシャは、本当に最後といわれたリストを提出したが、なんと、これはたった3ページの代物で、それこそお話にならず、今までずっとギリシャのチプラス首相の味方をしてきたEU委員長のユンカー氏も、ほとんど匙を投げかけたと伝えられた。
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