(2015年6月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
2012年9月にイランの首都テヘランで行われた軍事パレードに登場した弾道ミサイル〔AFPBB News〕
米国の当局が中国最大の軍用機メーカーとイランの弾道ミサイル計画との関係を捜査する中で、英国の有力大学と中国の宇宙航空産業との先端技術協力が詮索を受けている。
中国の国営宇宙航空会社、中国航空工業集団(AVIC)の子会社である北京航空制造工程研究所(BAMTRI)は昨年、カール・リーの名前でも知られる李方偉氏が所有する会社との取引疑惑のために、米商務省の監視リストに掲載された。
中国国籍の李氏はイラン政府にミサイル技術を売ったことで米国に指名手配されている人物だ。
AVICおよびBAMTRIと軽量で強度の高い材料の開発を中心としたさまざまな航空宇宙技術を網羅する研究契約に署名した多くの西側組織・企業の中にインペリアル・カレッジ・ロンドンとバーミンガム大学が入っている。
エアバスや親会社のエアバス・グループ(旧EADS)といった西側の航空宇宙企業とパートナーシップを組んだバーミンガム大学の研究プログラムは、BAMTRIが米国の監視リストに掲載される前に終了した。
中国との貿易、投資急拡大の落とし穴
BAMTRIを巡る問題は、英国政府が進めた中国との貿易、投資急拡大の落とし穴を浮き彫りにしている。何しろ中国は原子力や通信といったセンシティブな英国産業に投資してきた。また、多くの関係企業の不透明さを考慮すると、デューデリジェンス(査定、実態把握)を行う難しさも明らかになった。
インペリアルは2012年に開設された2つの研究センターでBAMTRIと協力していることを認めた。大学のウェブサイトは250万ポンドの財源を持つ同プロジェクトは、製造を改善するためのコンピューターモデリングと並び、「より軽量で強度の高い航空機部品の形成」を目的としていると書いている。