村山恵二
2015年6月25日19時00分
川崎市には七つの区すべてに市立図書館があり、分館が五つ、閲覧所が一つある。さらに神奈川県立川崎図書館があると聞くと、「二重行政」の象徴に見えてしまうかもしれないが、それは違う。県立図書館は、科学技術や産業技術に関する書籍に特化しているからだ。
17年に及んだ川崎公害訴訟の全容を500冊にまとめた記録、350冊以上ある実業家の伝記など、他では見られない資料が多い。中でも注目されるのは、約1万7千冊と全国屈指の規模を誇る企業の社史や経済団体史だ。
社史を集め始めたのは、1958年の開館から間もないころ。図書館が立つ川崎区は京浜工業地帯の一部であることから、科学や産業の情報に力を入れ、特色づくりに努めた。所蔵している社史のほとんどは、企業から寄贈されたものだ。
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