「円安耐えられない」 輸出企業が悲鳴 =韓国商議所調査(聯合ニュース)
 大韓商工会議所は26日、日本と競合する韓国の輸出企業約300社を対象にした調査の結果を発表した。これによると、円安が耐え得る水準を超えたとの回答が多数を占めた。

 調査対象企業のうち55.7%が円安により輸出に被害を受けていると回答した。回答した企業が耐えられるウォンの対円レートは平均100円=924ウォンと集計されたが、先週末のレートは100円=903ウォンまでウォン高が進んでいる。

 競合する日本製品の価格が10%引き下げられた場合、平均で輸出量が11.7%減少すると集計された。特に食品・飲料で平均18.7%と最も大きかった。ある乳製品輸出企業は「米国で日本のヤクルトとの競争で押されている上、日本でも競争が厳しくなり、輸出量は3分の1になった」と厳しい現状を説明した。

 また、企業の70%は円安リスクに対して対策を用意していないことも分かった。

 大韓商工会議所の関係者は「アベノミクス初期から懸念されていた近隣窮乏化政策(自国の経済状態を改善するため他国の経済を悪化させるような政策を取ること)が現実化している」と指摘。その上で「円高時代の日本企業のようにウォン高時代を切り抜けるため、事業構造の効率化や製品の付加価値引き上げにより競争力を押し上げるべき」と指摘した。
(引用ここまで)

 韓国の輸出企業中、55.7%が「円安によって被害を受けている」と回答……ですか。

 さて、円安になる局面は2012年の年末にはじまって、ここまでざっと2年半の猶予がありました。
 ちらと通貨変動時の企業の態度というか、対応を書いておきましょうか。

 まず、通貨が安くなった初期、輸出企業は製品価格は下げずに利益を確保します。それまでと製品価格を変えないのは通貨変動が一時的なものなのかそれとも長期トレンドなのかを見極めるためでもありますね。
 で、次のフェーズでは調達先を変更します。日本であれば超円高で海外企業からの調達がメインであったものが国内からの調達が増えはじめます。
 で、次に製品価格を下げはじめる。
 最後には工場を国内に建てる……というような経緯を取ることが多いですかね。

 現状、業界によっては3番目の製品価格を下げはじめるところであったり、国内工場を見据えたりとバラバラではありますがかなり対応が進んでいるのは確かです。
 ここまでざっくりと2年半。
 「円安になってもすぐに効果が出るわけではない」という話はこういう経過を経るからだったのですよね。

 ただ、半年が経過したあたりで長期トレンドになるのは間違いなかったので、韓国企業もなんらかの対応を取るべきだったのです。が、できなかった。世界規模での不況が進んでいて体力を削られていたところに、国内ではディスインフレからデフレへと進行していた。
 対応をとろうにも内部留保を増すくらいしか手がなかったという言い方もできますか。

 んで「近隣窮乏政策」とかありますが、別に日本から韓国と産業を似せてきたわけでもあるまいし。
 日本企業の模倣をしてわざわざ産業構造をかぶせてきたからこそあるていど繁栄できたのだし、今の苦しみはその反転した姿に過ぎないのです。
 ちょっと前まで「円安に反転したのに韓国の輸出は減っていない! もはや円安でも関係なくなった!! 韓国企業は強くなったのだ!!!」って大騒ぎしていたじゃないですか?
 そのころ、経済の専門家は「猶予は2年くらいあるから対応を急げ」って言っていたのですが。
 でも、逆に言えばその2年が経過してもまだ44.3%の企業は被害を受けていないのですから問題ないですよ。大丈夫、大丈夫。
 韓国は韓国でがんばってくれればいいんじゃないかな。
 記事の最後にあるみたいに構造調整とか、付加価値を増すとかやってみるといいですよ。多分。