ロシア:上院、流し網禁止法案可決 日本のサケ漁不可能に
毎日新聞 2015年06月24日 22時14分(最終更新 06月24日 23時26分)
【モスクワ杉尾直哉】ロシア上院は24日、排他的経済水域(EEZ)におけるサケ・マスの流し網漁を来年1月から禁止する漁業・水産資源保全法改正案を可決した。下院は10日に可決済み。2週間以内にプーチン大統領の署名を経て施行される。
日本は日ソ漁業協力協定(1985年)に基づき、毎年、ロシア側と漁獲高を決め、日本漁船によるサケ・マスの流し網漁を行ってきた。新たな国内法が施行されれば、漁業者は来年からの漁が事実上できなくなり、北海道や青森などの漁業に大きな打撃となる。
改正案の共同提案者であるマトビエンコ上院議長は24日の審議で、「絶対に日本向けではない」と語り、日本の対露制裁とは無関係との考えを表明。日ソ漁業協力協定についても「今後も有効だ。ただし、日本の漁業者は海洋環境に悪影響を及ぼさない手法で操業しなければならない」と指摘した。
改正法案は、流し網漁がサケ・マスなどの水産資源の枯渇や海鳥などを含む生態系の破壊につながるとして禁じる内容。国際環境保護団体・世界自然保護基金(WWF)のロシア支部が政府や議会に働きかけてきた。プーチン大統領に近いとされるマトビエンコ氏らが改正案を下院に提出していた。
日本は「科学的根拠がなく、長年の日露の協力関係を損なう」(原田親仁・駐露大使)とロシア側に訴えていた。日本と同様に流し網漁を行うロシア極東・サハリン州政府や同州の漁業界も法改正に反対の立場だった。だが、流し網漁ではなく沿岸漁業を展開するカムチャツカ地方の漁業者や政治家が強く法改正を支持していた。
今年の日本漁船のサケ・マス漁の漁獲割当量を決める日露政府間協議は今月11日、前年比で約7割減の1961.75トンで妥結した。大幅削減は来年からの流し網漁禁止規定との関連を指摘する声もある。