【ラタキア(シリア北西部)=共同】シリア反体制派のクルド人民兵部隊は23日までに、過激派組織「イスラム国」(IS)が掌握していたシリア北部の要衝アインイーサの町と、近郊のシリア軍基地を相次いで制圧した。部隊の報道官が共同通信の電話取材に明らかにした。有志国の空爆支援を受け、シリア北部で進撃を続けるクルド人勢力が、ISの「首都」ラッカ北方約50キロに迫った。
報道官によると、クルド人組織、民主連合党(PYD)傘下の人民防衛部隊(YPG)は22日、シリア軍の第93旅団基地を制圧し、23日にアインイーサの町と周辺の村を制圧した。シリア人権監視団(英国)は、ISの次の防衛ラインはラッカ郊外になると指摘している。
進撃には親欧米の武装組織「自由シリア軍」が協力した。ISの戦闘員はラッカ方面に撤退したという。制圧を維持できれば、ラッカ攻略の重要な足場となりそうだ。
一方、ISが5月に制圧した世界遺産の古代遺跡がある中部パルミラ周辺では、アサド政権が奪還作戦を強化しており、ISは支配地域の北側と南側で防戦を迫られている。
クルド部隊は今月15日、アインイーサ北方のトルコ国境の要衝テルアビヤドを制圧した。シリア北部では武装勢力が乱立しているが、結束が強い少数民族クルド人勢力は有志国との連携を重ね、存在感を増している。
シリア軍基地、イスラム国、IS、シリア