和歌山電鉄:「たま駅長」死ぬ

毎日新聞 2015年06月24日 18時39分(最終更新 06月24日 21時44分)

たま駅長=和歌山県紀の川市の和歌山電鉄貴志駅で2010年4月20日、水津聡子撮影
たま駅長=和歌山県紀の川市の和歌山電鉄貴志駅で2010年4月20日、水津聡子撮影

 和歌山電鉄は24日、貴志川線貴志駅(和歌山県紀の川市)の駅長として、長年人気を集めた三毛猫の「たま」(雌、16歳)が22日夜に死んだと発表した。先月から鼻炎のため、駅の専用駅長室で乗客や観光客を迎える「勤務」を休んでいた。人間なら80歳に相当する高齢で、死因は急性心不全だった。社葬を28日午後0時半から、貴志駅コンコースで営む。葬儀委員長は同社の小嶋光信社長が務める。

 貴志川線(和歌山市−紀の川市、14.3キロ)は2004年、南海電鉄が赤字などを理由に廃線を発表。住民団体が存続運動などを展開し、06年に両備グループ岡山電気軌道(岡山市)が運行を引き継いだ。07年1月、小嶋社長が駅近くの飼い猫で、駅のアイドル猫だった「たま」を民営鉄道で初めて正式に駅長に任命した。

 人懐っこく堂々とした姿がメディアで取り上げられると、国内外で大人気に。動物駅長ブームの先駆けとなり、たまは社長代理、特設の「ウルトラ駅長」と昇進を続けた。

 たま駅長目当ての観光客が訪れたことで、毎年約5%ずつ減っていた利用者は、運行を引き継いでから8年後には約17%増となった。ローカル線と地域の活性化に大きく貢献した。【道岡美波】

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