ギリシャの首都アテネの小さなアパートで、マルガリータさんは木の床の上にあぐらをかいて座っている。その周りには、家族の持ち物が入った段ボール箱が山積みになっている。
「亡くなった両親の家に住むことになるなんて、思ってもみませんでした」。42歳のマルガリータさんはこう語る。3年前に勤め先の銀行を解雇された夫のジョージさんは、寝室2つとバルコニーがあるこのアパートに防犯シャッターを取り付ける職人たちを見守っている。16歳になる娘のクリスティーナさんは、狭いキッチンでコーヒーをいれている。
名字を明かさないでほしいというこの3人家族は、アテネ北部の郊外にある邸宅から都心の住宅街に引っ越してきた。住宅ローンがデフォルト(債務不履行)になるのを回避するためだ。
「銀行にいる昔の同僚たちのおかげで、債務再編を2度行うことができましたが、それでも返済を続けられなくなってしまったんです」。現在は投資コンサルタントとして苦労しているジョージさんは言う。「本当にお先真っ暗という状況でしたが、借り手が見つかり、引っ越すことができました」
この家族はまだ、娘が通う私立のインターナショナルスクールの学費を1年分滞納している。ジョージさんによれば、この支払いの優先順位は高くない。同じ境遇の親がたくさんいるため、払えなくて恥ずかしい思いをすることはもうないという。
■経済活動、事実上の凍結
ギリシャでは、かつて裕福だった中間層の間でそうした戦略的デフォルトがごく普通に行われるようになっている。この国では2001年にユーロが導入された後、国内銀行が手の届く金利での貸し出し競争に走り、多くの人々が多額の借り入れを行った。
金融危機が発生しても、こうした人々はライフスタイルを変えたがらなかった。所得水準は上昇し続けてイタリアやスペイン並みになる、これは一時的な落ち込みにすぎないと信じて疑わなかったからだ。
しかし、その後、厳しい調整を強いられることになった。蓄えは大幅に減り、国のごく近い将来すら不透明である――ギリシャはデフォルトし、ユーロ圏から離脱するのだろうか――ことから、多くの人々が支払いを完全にやめ、経済活動が事実上凍結されてしまっている。
例えば、今年5月の税収は予算目標を10億ユーロも下回った。非常に多くの人が税金の申告をやめてしまったからだ。このため、賃金や給料の支払い、さらには外国の債権者への元利返済のために現金をかき集めている左派政権には、これまで以上のプレッシャーがかかっている。
ギリシャ政府自体も納入業者への支払いを先日凍結し、不払いの連鎖に手を貸している。その余波で経済の大半を占める小企業の経営が苦しくなり、解消に何年とはいわないまでも何カ月もかかる延滞の山ができてしまっている。
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