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モー娘。とAKB48、それぞれのOGの進路はどう違う?『テレ東音楽祭』紺野あさ美復活から考える

リアルサウンド 6月24日(水)7時0分配信

 6月24日の18時半より放送される『テレ東音楽祭(2)』で、モーニング娘。のOGメンバーとして、飯田圭織、保田圭、矢口真里、石川梨華、吉澤ひとみ、辻希美、高橋愛、新垣里沙が出演するほか、現在同局でアナウンサーを務める紺野あさ美が一夜限りの復活をするとして、話題を呼んでいる。

 これまでもモーニング娘。は、約一年前に放送された『テレ東 音楽祭(初)』で、中澤裕子、安倍なつみ、飯田圭織、保田圭、石黒彩、吉澤ひとみ、石川梨華が登場し、「LOVEマシーン」「ハッピーサマーウェディング」「恋愛レボリューション21」などを披露しており、彼女たちを誕生させた番組である『ASAYAN』がかつて同局の目玉番組であったことから、実現したであろう同企画で、華やかな復活劇を演出してみせた。これに対し、重ねて来た年齢が違うといえど、同番組で共演するAKB48グループは、メンバーの『限定復活』をテレビでは行っておらず、『チームサプライズ』としての企画やリクエストアワーなどのライブがお披露目の場となっている。

 メディア露出も多いこの2大グループにおいて、それぞれのOGが示すスタンスの違いとは何なのだろうか。『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』の著者であり、AKB48グループに詳しいライターの香月孝史氏は、グループに所属している時代から、両グループには明確な違いがあるとする。

「モーニング娘。の母体であるハロー!プロジェクトおよびアップフロントグループは、対外的というよりも組織内の関わりを強く保った活動で、芸能界で安定的に活躍するやり方をとっています。メンバーは卒業後もアップフロントとの関係を密にしながらバラエティや司会業、舞台などの活動を行なっていますが、特に紺野さん在籍時のモーニング娘。はテレビタレントとしての認知度も高かったため、当時のOGが今テレビで活躍することのバリューも大きいと思います。一方、AKB48に関しては、グループに所属して活動を経験すること自体が『その後の進路を模索するステップ』でもあります。主要メンバーがそれぞれ別の大手事務所に所属していることもその特性のあらわれですが、各メンバーが進む道の選択肢を広げるという目的もあり、グループの枠組みを越えた幅広い活動に挑戦しています」

 そうした一般的な進路のあり方に比して、モーニング娘。卒業後に大学へ進学をし、アナウンサーになった紺野あさ美は、今振り返っても異端の存在だと香月氏はいう。

「卒業後の進路が多様な現在のAKB48グループだと、『アナウンサーになりたい!』も“ありえる”選択肢のひとつとして受け止められると思うのですが、紺野さんが卒業した当時のモーニング娘。においては、そのような進路自体がとにかく異例でした。ファンも予想外の進路を受けとめる準備が今ほどはできていなかったので、当時はさまざまなリアクションを見せていました。そういう意味では、アイドルグループのメンバーに今ほど将来の選択肢が想定されていなかった時代における、一種のパイオニアだと思います」

 続けて同氏は、両グループが示すスタンスのメリットとデメリットをこう語る。

「これまでのモーニング娘。の場合、はじめからメンバーの人数が比較的限定されていることもあり、卒業後も引き続きアップフロントグループの中にとどまってその後の活動を続けていくことが目立ちます。卒業後もさしあたりの居場所があることは安定につながりますし、引き続きファンとの関わりを保ちやすいことはメリットだと思います。一方でアップフロントグループ内の活動が主になることは、卒業後の進路の幅を限定してしまう可能性もあります。AKB48グループはそもそも卒業後の進路を探すためのステップなので、在籍時から個人活動の幅は広いですが、その後安定的な活動をするための土壌は個々で模索していく割合が高くなり、モデルケースもまちまちになってきます。ハロー!プロジェクトと48グループの在籍人数の違いは、作ろうとしているエンターテインメントの性質の違いでもありますが、同時に卒業後の進路をそれぞれに特徴づけるものでもあるでしょう」

 最後に、両グループのOGの進路について、同氏はこう推察した。

「AKB48のOGは、現在のスタンスによって辿り着いた場所でそれぞれが活躍を続けるのであれば、しばらくは同じモデルが継続されるでしょう。同様に2010年代以降のグループアイドル界隈では、アイドルの数も多いぶん進路やスタンスの多様化が進んでいるため、ハロー!プロジェクトも現行メンバーに関しては、そうした多様なモデルが存在することが前提の進路選びになるでしょう。今後紺野さんのようなキャリアを築くメンバーも、どのグループ出身であるかを問わず現れていくのではないでしょうか」

 アイドルグループが多様化するにつれ、その進路もまた増え続けているシーンの現状。それぞれの巨大グループにおいて、新たなキャリアを提示するメンバーの登場にも期待したい。

向原康太

最終更新:6月24日(水)7時0分

リアルサウンド

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