米NSA:歴代の仏大統領も盗聴…06年から6年間

毎日新聞 2015年06月24日 11時56分(最終更新 06月24日 13時43分)

来日した際のフランスのオランド大統領 =東京都港区南青山で2013年6月(代表撮影)
来日した際のフランスのオランド大統領 =東京都港区南青山で2013年6月(代表撮影)

 【パリ宮川裕章】米国家安全保障局(NSA)が2006年から約6年間、フランスのオランド大統領ら過去3代の同国大統領の通信を傍受していた疑いが強いことが、内部告発サイト「ウィキリークス」が入手した機密文書から分かった。同サイトとの協力で、仏紙「リベラシオン」(電子版)などが23日、報道した。当時の傍受対象リストには大統領の携帯電話や大統領府の通信設備も含まれており、オランド大統領は24日に国防委員会を招集し、対応を協議する。

 リベラシオン紙によると、ウィキリークスが入手したのはNSA作成の「諜報(ちょうほう)・エリゼ宮(仏大統領府)」と題する文書で、「重要傍受情報」など五つの分析報告書を中心に構成されている。通信が傍受されたのは06年から12年5月のオランド大統領就任直後までの時期で、シラク、サルコジ、オランドの歴代3大統領らが対象となっていた。

 文書には、サルコジ前大統領が08年、「金融危機を解決できるのは自分しかいない」と自負していたことや、10年に仏米間で議題に上った機密情報などに関する2国間の協力協議で、米国の態度が消極的だと不満を漏らしていたことなどが記載されていた。その背景として、当時の駐米大使らが「米国はフランスに対するスパイ活動を続けたいためとみられる」と分析していたことも傍受されていた。リベラシオン紙は「米国が同盟国の指導者層の通信を、どれだけ詳細に把握できる能力を持っているかを示している」と解説している。

 NSAの通信傍受を巡っては、仏ルモンド紙が13年10月、NSAが12年12月〜13年1月に仏国内で約7000万件の盗聴を実施したと報道。同じ13年にはNSAによるメルケル独首相の携帯電話の盗聴も発覚し、オバマ米大統領は14年1月、「密接な関係にある同盟国、友好国の首脳と政府の通信は監視しない」との方針を表明していた。

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