2015年6月23日22時51分
2017年の登録を目指すユネスコ(国連教育科学文化機関)の「世界記憶遺産」の国内候補に、第2次大戦中、外交官の故杉原千畝(ちうね)氏がユダヤ人に発給した「命のビザ」のリストなど16件の申請があったと文部科学省が23日、発表した。日本ユネスコ国内委員会が公募していた。一度に推薦できるのは一つの国で2件までのため、有識者らによる選考委員会で9月に選定し、来年3月、ユネスコに申請書を提出する。
記憶遺産は歴史的な文書や絵画、音楽などが対象で登録の審査は2年に1回。昨年の選考から漏れた、部落解放運動の原点とされる全国水平社創立宣言と関係資料(申請・奈良人権文化財団など)や、知覧の特攻隊員の遺書や手紙など(同・鹿児島県南九州市)は内容を一部見直し、再申請した。ほかに、栗原貞子、原民喜、峠三吉3人の広島の被爆作家による原爆文学資料(同・広島文学資料保全の会など)や、特別史跡の群馬県の上野三碑(こうずけさんぴ、同・上野三碑世界記憶遺産登録推進協議会)、国宝の伊能忠敬の測量地図(同・千葉県香取市)などが申請された。
記憶遺産は1997年から登録が始まり、現在の登録数は世界で301件にのぼる。国内からは、福岡県田川市などが申請した「山本作兵衛炭坑記録画・記録文書」、政府が申請した「慶長遣欧使節関係資料」と「御堂関白記」の計3件が登録されている。今年は「舞鶴への生還―1945~1956シベリア抑留等日本人の本国への引き揚げの記録―」と国宝「東寺百合文書(とうじひゃくごうもんじょ)」がユネスコで審査される。
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