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 高齢者よ、もっと戦争を語ろう――。朝日新聞への寄稿でそう呼びかけた芥川賞作家に触発され、大阪や神戸などの80代の女性10人が、これまであまり明かしてこなかった自身の戦争体験を文集にまとめた。

 作家は大阪市出身で、1986年に「過越しの祭」で芥川賞を受賞した米谷(こめたに)ふみ子さん(84)=米ロサンゼルス在住。昨年2月、夕刊に「戦争体験 黙っとったらアカン 年寄りよ!残酷さを赤裸々に語ろう(大阪本社版)」の見出しの寄稿が載った。

 大阪府高槻市の江夏清子さん(85)は「戦争体験を語らずに生きてきた自分に投げかけられた言葉」と受け止めた。「敗戦直後は食べることで精いっぱい。(戦争体験は)嫌なことだから記憶の奥にしまっておいたんです」