増谷文生
2015年6月24日00時45分
和歌山・高野山の「奥の院」。その一角に沖縄戦戦没者を供養する塔がある。遺族らが高齢になり、慰霊祭は2011年が最後。だが、「忘れてはならない」と思う人たちが23日に姿を見せ、手を合わせた。
高校の非常勤講師の家長福成さん(60)=大阪府寝屋川市=は、知人の僧侶と塔の前に立った。「戦没者霊」と書いた布を掲げ、般若心経を唱えた。「沖縄にゆかりがある人たちに声をかけたが、高齢などで参加できない人ばかりだった」
家長さんは、召集された親類の男性を沖縄戦で亡くした。学校で書道を教える傍ら、沖縄の楽器の「三線(さんしん)」や伝統的染色技法「紅型(びんがた)」に関心を持ち、たびたび沖縄へ。親類の最期を知りたいと現地へ行き、命日を調べたこともある。「ひめゆりの塔」や「摩文仁(まぶに)の丘」などのスケッチを手がけ、02年には沖縄で個展を開いた。
その2年後の04年。高野山の供養塔で「慰霊の日」にあわせて慰霊祭が毎年続いていることを知り、参列した。高さ9メートルの塔には沖縄戦で亡くなった住民や兵士の霊がまつられ、遺骨の一部も納められていた。
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