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 23日、名古屋市昭和区の自宅で、車いすの元陸軍兵、神谷五郎さん(94)は沖縄戦で戦没した部下に祈りを捧げる。自身の指示で多くの部下を亡くしたことを悔やみ、これまで200回以上、慰霊のため沖縄を訪れた。戦後70年の今年、車いす生活になってから遠のいていた沖縄行きを復活させ、最後の慰霊の旅を計画している。

 神谷さんは、首里(那覇市)の軍司令部を防衛する部隊の分隊長として約100人と行動した。

 1945年5月ごろ、首里城近くに迫った米軍に対し、司令部は「突撃」を命じた。神谷さんは部下の名を順に呼び、指示した。ダイナマイト入りのミカン箱を抱えて突っ込む。多くが黙って壕(ごう)を飛び出す中、一人の同年兵が残した言葉が耳に残る。「俺を使う気か。神谷、覚えていろ」。ほとんどが敵軍に近づく前に撃ち殺された。