2015年3月期の決算で電機大手各社が好業績となる中、2年連続の最終赤字に陥ったソニーは23日、東京都内で株主総会を開き、会社側が提案した取締役選任議案などを可決した。同期の年間配当は上場以来初の無配となり、議長を務めた社長の平井一夫は「株主の皆さまに深くおわびする」と陳謝。「改革と計画の実行に邁進(まいしん)する」と強調したものの、数字として表れていないだけに株主の不満は充満しつつある。ただ、足元では復活の兆しも出てきた。再建を急ぐソニーの苦闘を追う。
「原案通り可決されました」
ソニーの株主総会は目立った波乱もなく淡々と進み、約1時間半で終了した。今期は最終損益で3期ぶりの黒字転換を計画しており、平井は「復配を実現したい」と強調。だが、平井の表情は、最後まで硬いままだった。
理由の一つに、米議決権行使助言会社インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)が、平井の取締役再任議案に反対するよう推奨したことがあったとみられる。議決権行使の詳細な結果は後日公表されるが、機関投資家の反対票により、平井に対する賛成率はある程度、押し下げられた可能性がある。
ISSは今年から、資本の効率的な活用を示す指標、株主資本利益率(ROE)が5年間の平均で5%に満たない企業のトップ再任に反対している。ISSのエグゼクティブ・ディレクター、石田猛行は「多くの投資家が求めている最低水準で、満たせない経営者は役割を果たしていない」と語る。
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