2015年06月09日(火)放送
肩こりの正体は?「筋肉を鍛えて肩こり予防」
筋肉が疲労しやすい肩の構造
全身の関節のなかで、骨がぶら下がる構造をしているのは肩関節だけです。その構造の特徴から、懸垂関節と呼ばれています。人間の腕は、1本が約3~4㎏あり、左右の腕を合わせると7~8㎏にもなります。その重い腕を引っ張り上げているのは、首から肩・背中にかけての表層に広がる僧帽筋[そうぼうきん]、その深層にある肩甲挙筋[けんこうきょきん]、菱形筋[りょうけいきん]、肩関節を覆う三角筋などです。これらの筋肉には、腕を引っ張り上げ続けることで大きな負担がかかっています。そのため、肩こりが起きやすいのです。
実際には、同じように負担がかかっていても、肩こりになる人とならない人がいます。これは、実験から、肩こりのある人はない人に比べて、筋肉の回復に時間がかかることがわかりました。そのため、肩関節の周りの筋肉の疲労が蓄積し、肩こりが起こると考えられます。また、女性のほうが筋肉の回復が遅いこともわかり、これは、肩こりが男性より女性に多い理由の1つと考えられています。女性に肩こりが多いもう1つの理由として、男性より筋肉が小さいため筋肉を強く収縮させる必要があり、負担が増すこともあげられます。
肩こりを防ぐトレーニング
肩こりの原因が筋肉にあるとわかった場合は、筋肉をほぐして疲れをとったり、トレーニングで筋肉を鍛えることが大切です。紹介する運動は、どちらも10回で1セット、1日3セットが目安です。呼吸を止めずに、筋力や体調などに合わせて自分のペースで行いましょう。
● 僧帽筋を鍛える肩をすくめる運動
- いすに座り、左右の腕の力を抜いた状態から、できるだけ腕を上のほうに引き上げるように肩をすくめる。
- 引き上げた腕を下げる。このとき、肩を下に引っ張って下げるようにする。
● インナーマッスルと三角筋を鍛えるおもりを使った運動
- いすに座り、おもり代わりにペットボトルを持って腕を下ろす。(ペットボトルは350mLが目安。何も持たなくてもよい)
- 手の甲を上に向け、左右の腕が肩と水平になるまで上げていく。
- 次に、手の甲を下に向け、腕が肩と水平になるまで上げていく。
☆ 女性に多い肩こりの原因「肩不安定症」については、
きょうの健康テキスト 2015年6月号に詳しく掲載されています。
きょうの健康 テキスト
※2015年6月現在の情報です。