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あざなえるなわのごとし

ネット事件から妄想まで雑食


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映画「プレミアムラッシュ」に見る演出の妙技

プレミアム・ラッシュ [DVD]

ジョゼフ・ゴードン=レヴィット主演のハイスピードアクションサスペンス。人と車が激しく行き交うN.Y.。究極のテクニックで大都会を疾走するバイクメッセンジャー・ワイリーは、ある日知り合いの中国人女性・ニマから1通の封筒を託されるが…。



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そもそも自転車というのは早いが早くない。

バイクや車とは速度が違う上に舞台は都市部。当然ながら車の隙間を縫うようにして走らなければならない。
主人公は卓越したセンスでそんな街中を自転車で爆走するメッセッジャー。
彼のセンスは、危険な道の中から最も安全なルートを選んでいる、ということを観客に知らせたい。
そこで監督が選んだのがシミュレーションを見せる、という演出。

仮に赤信号で止まったとする。しかし後ろから追っ手が

A.そのまま突っ込む→横合いから来たバスに轢かれる→DEAD END
B.歩行者の方に→ベビーカーにぶつかり倒れ赤ん坊が道路へ→BAD END
C.路駐している車の隙間から歩道へ→OK

そして主人公はCのルートを選び難を逃れる……。

このように複数の未来を実際に観客に見せ、最善手を選択する過程を見せる。
これを行うことで主人公の能力を視覚化して見せ主人公の感覚に説得力を持たせる。


先刻も言いましたが自転車は早いが遅い。
そこでカメラを地面すれすれのカメラワークにすることで観客に対し速度感を与える。
自転車と自動車、ではなく地面とカメラで速度感を出している。

そして対象物が歩行者などの場合(公園とか)はカメラを下げることを行わずに歩行者との比較で見せる。
対象が遅ければ自転車の早さが際立つ。
当然ですが。
向かいから車が突っ込んでくる、通り過ぎる柱、様々な物体との比較で自転車の速度を表現する。

こういう細かい演出が方々にある、そんな妙が光る佳作。
お話はオーソドックスだし、シナリオはそこそこ。
一見地味だけれど映像演出と画面作りが非常によくできている。