母さん、
齢二十四にして、記念すべき
初の、デートです。
母さん、
私には、ひとっことも、
そろそろ彼氏のひとりくらい、
とか
とか
口にしませんでしたよね。
その代わり、
あんた、
子どもだけは作りなさいよ、
と。
子どもだけは作りなさいよ、
と
何度も言いましたね。
一体どこにいるんだ、
と頭を抱えた私が、
今度、
母さん、
中学も、
高校も、
大学も、
彼氏がいないどころか、
男友達もろくにいない、
パッサパサの、
パッサパサのサバンナで、
そろそろ、
そろそろ慎ましいオアシスに、
たった一杯の水に辿りついても
良い年頃かもしれません。
そう思いませんか。
母さん、
たいそうおモテになったのだと
何度も聞かされて育ちました。
私は今、
フェイスパックしたり
心臓が爆発しそうです。
こんなこと、
私の人生には永劫
起こり得ないと思っていたからです。
世の女の子たちが、
早くて小学校、
サッサと通り過ぎていた道です。
母さん、
その女、殺してやりたいと思いましたか。
それとも父を殺してやりたいと思いましたか。
両方かな。
あなたは父の悪口を言いませんでした。
結局、
ただ、
そういうところはお父さんに似たのね、
と
よく、うんざりしたふうに
そう言いました。
母さん、
私はなんだかあなたを
裏切るような気持ちで
爪を磨いている。
きっと、
あなたも
私も、
人生に折り合いを付けられていない。
踏み出すことは怖い。
事実を受け容れて、
直視することも、
ましてや、
苦しみを抱えたまま
新しい幸福を
探しに出ることなど、尚更。
そんなことはさておき、
デートです。
早起きして髪を巻いて
一番可愛い服を着て
おしゃれなカフェで
チーズケーキなんか食べて
考えるだけで
頭がフットーしそうです。
うれしくて、
朝、
鏡を見るだけで、
笑えて来ちゃいます。
母さん、
母さんも、
父さんと初めて
なにかこの子が居酒屋かラーメンコースを巡って落ち込みそうでソワソワするんだが
それだけモテない上にこじらせてるのが 髪巻いて可愛いワンピースは着られるという素直さは持っているってのに違和感
そうか? 俺は4年前ぐらいのガチ巻きしちゃいそうなところにリアルさを感じるんだけど