アングル:北朝鮮「100年に1度の干ばつ」、闇市場が飢きんリスク減少
[ソウル 22日 ロイター] - この100年で最悪の干ばつに見舞われ、農作物に甚大な被害が出ていると伝えられる北朝鮮。しかし、同国に芽生え始めた市場経済や農民が個人的に作る作物のおかげで、1990年代に見舞われたような壊滅的な飢きんにはならないとみられる。
北朝鮮では、1994─98年の飢きんで数十万人が死亡したが、市民に根差した市場や非公式経済により、個人が作物を作り、それを売買できるようになったことで、大規模な飢きんが起きるリスクは減少していると専門家は指摘する。
北朝鮮が過去100年で最悪の干ばつに見舞われているという同国からの報道には誇張があるかもしれないが、国連は栄養失調に陥る人が急増する恐れがあると警告している。
韓国ソウルにある国民大学校の北朝鮮専門家、アンドレイ・ランコフ教授は「農業は以前に比べて民営化が進んでいる。自分たちのために働く農民はよく仕事をするし、効率も良い」と指摘。「北朝鮮がまた飢きんを経験する可能性はほとんどない。特に、1990年代後半に起きたような飢きんはないだろう」と語った。
北朝鮮の従来の協同農場では、国家が作物を管理し分配する。そこでは、より多くの作物を作ろうというやる気を農民たちに起こさせるものがほとんどなかった。
しかし1990年代の飢きんを受け、北朝鮮は国営農場や自宅の裏庭で個人が小規模に作物を作ることを容認した。農民たちは穀物や野菜を育て、自分たちで消費したり売ることができる。こうしたやり方は、肥大化した集団農業よりも効率的である場合が多い。
要するに、北朝鮮が「先軍」体制を維持し、食糧や電力が強大な軍に優先的に与えられることに変わりはないが、一般市民がかつてのように苦しむことにはならないということだ。
ある非政府組織(NGO)職員は、北朝鮮の農業専門家の話を引用しながら、同国の農民たちは自分たちの区画を耕すため、平均で労働時間の3割を費やしていると推測している。 続く...
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