安保関連法案:2元内閣法制局長官「違憲」「掃海は枠外」

毎日新聞 2015年06月22日 20時07分(最終更新 06月22日 21時56分)

平和安全法制特別委で参考人として意見を述べる法政大法科大学院教授の宮崎礼壹氏(右)と弁護士の阪田雅裕氏=国会内で2015年6月22日、小川昌宏撮影
平和安全法制特別委で参考人として意見を述べる法政大法科大学院教授の宮崎礼壹氏(右)と弁護士の阪田雅裕氏=国会内で2015年6月22日、小川昌宏撮影

 ◇衆院の特別委で参考人質疑

 安全保障関連法案を審議する衆院平和安全法制特別委員会は22日、参考人質疑を行った。野党推薦の阪田雅裕氏、宮崎礼壹氏の2人の元内閣法制局長官は、集団的自衛権の限定的な行使を容認する同法案について「従来の政府解釈を逸脱している」などと批判した。

 宮崎氏は関連法案を「憲法9条に違反し、速やかに撤回されるべきだ」と強調。自衛権に関する1972年の政府見解を根拠に集団的自衛権の限定容認に踏み切った政府の判断を「歴史を甚だしく歪曲(わいきょく)している」と批判した。

 阪田氏は、朝鮮半島有事の際に集団的自衛権を行使することについては一定の理解を示した。

 だが、安倍晋三首相が集団的自衛権行使の典型例として挙げる中東・ホルムズ海峡での機雷掃海については「どう考えても日本の存立を脅かす事態には至りようがない。明らかに従来の政府解釈の基本的な論理の枠内にはない」と批判した。

 そのうえで阪田氏は「どこか遠くで油が入りにくくなった話まで入るなら、満州事変と同じことになってしまう」と指摘した。

 阪田氏は2004〜06年、宮崎氏は06年から10年まで内閣法制局長官を務めた。

 首相は22日の参院決算委員会で、元法制局長官から「違憲」との批判が相次いだことを問われ、「政治家は常に、必要な自衛の措置とは何か、どこまで認められるのかを考え抜いていく責任がある」と反論した。【飼手勇介】

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