千の証言・投稿:<終戦>羽子板とチューインガムを交換=埼玉県上尾市・山本康子さん(74)

2015年06月22日

 私は北朝鮮で終戦を迎えました。当時4歳、姉8歳です。

 姉が誰に聞いたのか「外国人が、飾り物の羽子板(当時私たちが持っていたもの。今なら1万円以上する)と何か食べ物を交換してくれるそうだ」と言って、私の手を引いて2人で待ち伏せしました。場所も聞いていたのでしょう。2人のアメリカ人(?)が通りかかり、姉が身ぶり手ぶりで交渉すると、「あしたチューインガム」と言って人さし指を立てて笑いました。

 本当に持って来てくれるのかと、子供心にも不安に思いながら一夜を明かしました。次の日、その外国人は同じ場所で本当にチューインガム(20枚ぐらいかな)1個を手渡してくれました。

 「え? こんなもん?」と、今思えばバカにされた気分ですが、当時は本当に約束を守ってくれたんだということがうれしくて、この言葉は忘れません。ウソみたいな本当の話です。

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