千の証言・投稿:<抑留>帰国を願いつつ病に倒れた父と娘=福岡県行橋市・加来和江さん(85)
2015年06月22日
私は敗戦を旧満州のハルビン市で迎えました。15歳、女学校の3年生でした。その後の中国での8年の抑留は私の人生を大きく変えました。
母が助産婦と保健婦をしていたため抑留されたのですが、ソ連の見える都市・東安から瀋陽へと移動させられ、帰国を願いつつ、父も私の長女も病で死亡。長男は昭和28(1953)年におぶって帰国しましたが、その子も一昨年に還暦を迎えたばかりで亡くなりました。
帰国後の生活苦で心も体も痛めつけられました。長男がまだ中国にいた頃の写真がありますが、あやしてくれている近所のおばさんも抑留中、5人の子を次々と亡くしました。波瀾(はらん)万丈の一生だと思っているのは私だけではないのです。
今は外地で命を落とした同胞にただ合掌するのみです。