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 70年前、沖縄では太平洋戦争で国内最大の地上戦があった。600人を超す宮城県出身者も命を落とした。父を亡くした仙台市の女性は訴える。島の悲劇は遠い国で起きたことではない、多くの犠牲の上に今の平和がある――。23日、沖縄は「慰霊の日」を迎える。

 1995年10月、泉区の大竹由子さん(71)は、沖縄戦終焉(しゅうえん)の地・糸満市の摩文仁にいた。宮城県出身の戦没者をまつる「宮城之塔」で毎年開かれる慰霊祭に初めて出席した。この地で陸軍伍長だった父、高橋由蔵さんは45年6月22日に亡くなった。30歳だった。

 遺骨も形見もない。会った記憶もない。それでも、なぜか涙が止まらなかった。「父の無念さ、自分のこれまでの境遇に思いが及んだのかもしれない」