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 岩手から沖縄に移り住んで約半世紀、その歴史を見続けてきた人がいる。那覇市に住む菊地稔さん(73)。太平洋戦争の悲劇から米軍基地問題。「沖縄の歴史を知り、平和の意味を考えてほしい」と訴える。23日は沖縄「慰霊の日」。

 菊地さんは終戦の4年前、岩谷堂町(現・奥州市江刺区)の農家の五男として生まれた。戦争の記憶は長兄の出征祝いと畑にあった防空壕(ごう)くらいだ。

 高校卒業後、東京の測量会社に就職。数年後の1963年、当時米軍施政下に置かれていた沖縄に新しくつくった関連会社への赴任を命じられた。赤瓦やトタン葺(ぶ)きの家々。通貨はドル。飛行機で降り立った沖縄は、外国のようだった。