[新安保法制 国会大幅延長] 何がなんでも通すのか
( 6/23 付 )

 政府・与党は国会の会期を、9月27日まで大幅に延長することを決めた。通常国会では現行憲法下で最長の95日間である。

 憲法学者らから「違憲」と指摘されている安全保障関連法案を、与党は何がなんでも今国会で成立させるつもりらしい。

 十分な審議時間を確保するという考え方に異存はない。しかし、今問題になっているのは、合憲か違憲かという、法案の根幹に関わる部分である。

 共同通信社の世論調査では、法案は憲法に違反していると思うとの回答が56.7%に上った。砂川事件判決と1972年の政府見解を基にしたこれまでの「合憲」との説明に、多くの国民は納得していないということだ。

 法案を「説明不足」と答えた人も84%に上る。野党の質問に論点を意図的にずらすなど、政府側が不誠実な答弁を続ける反映ではないか。会期だけを延長しても国民の理解が深まるとは思えない。

 きのうの衆院特別委員会では、元内閣法制局長官の2人が、集団的自衛権の行使を可能とする法案を批判した。

 宮崎礼壹氏は、72年の政府見解を容認の根拠とするのは「黒を白と言いくるめる類いだ」と厳しく指摘する。「憲法9条に違反しており、法案の該当部分は速やかに撤回すべきだ」と明言した。

 阪田雅裕氏も安倍晋三首相が例示するホルムズ海峡での機雷掃海について「従来の政府見解を明らかに逸脱している」と述べた。

 首相は参院決算委員会で「政治家は常に、必要な自衛の措置とは何かを考え抜く責任がある」と、真正面から答えなかった。

 内閣法制局は、政府が提出する法案などが憲法に違反していないかを審査し、憲法解釈を事実上担ってきた。その長官経験者の発言を、政府は謙虚に受け止めるべきである。

 世論調査では、今国会での法案成立に反対が6割を超え、賛成の26.2%を大きく上回った。法案自体への反対も58.7%で、5月の調査時より11.1ポイント増えた。

 説明不足というだけではなく、法案そのものへの疑念が高まっている表れとはいえないか。

 会期の大幅延長には、衆院通過から60日以内に参院で議決されなければ、憲法の規定で否決されたとみなし、衆院で再可決しようという与党側の思惑が透ける。

 数の力で採決を強行することになれば、国民無視のそしりは免れない。


 
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