後藤一也
2015年6月23日12時16分
三重県いなべ市で捕獲されたツキノワグマを県職員が滋賀県内に連絡せずに放し、10日後に滋賀県多賀町で女性がクマに襲われた問題で、三重県は23日、DNA鑑定の結果、2頭は別々のクマだと発表した。三重県はこれまで「放獣したクマが襲った可能性がある」としてクマを捕殺する方針だったが、改めて24日に関係自治体と対応を協議する。
クマは5月17日、いなべ市北勢町の山中で、イノシシ用のおりに誤捕獲された。三重県職員は発信器をつけ、14キロ西の多賀町の山中に滋賀県の許可を得ないままクマを放した。その6キロ南西で5月27日、女性(88)がクマに襲われて大けがをした。
三重県は、放獣したクマの血液と、女性が襲われた場所に落ちていたクマの体毛を使って、2頭が同じクマかどうかを確認するためにDNA鑑定を依頼した。国立研究開発法人・森林総合研究所の鑑定結果によると、二つの個体は遺伝子型が異なり、別個体と判明した。
放獣したクマは5月28日以降、いなべ市と岐阜県海津市、養老町、大垣市にまたがる南北約15キロ、東西約5キロの山中を行き来している。6月23日午前9時現在、最初に捕獲された場所から北西約2キロのいなべ市北勢町川原の山中にいる。三重県は24日、各市町と協議して今後の方針を決める。
鑑定の結果、放獣したクマは、滋賀県と岐阜県にまたがる伊吹山地にいる「白山奥美濃個体群」のDNA型だった。女性を襲ったクマについては遺伝子型が違うことは判明したが、詳細はわからなかった。(後藤一也)
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