慰安婦:日本の国家責任めぐり対立=韓日外相会談

 21日午後5時半、東京の外務省飯倉公館で韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官(外相に相当)と日本の岸田文雄外相が会談した。両者はソウル、ミャンマーなどで6回会談しているが、東京での会談は初めてだ。尹長官は朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の就任直後に東京訪問を計画したが、麻生太郎副総理が靖国神社を参拝したために中止された。その後2年間、韓日関係は悪化の一途をたどった。

 今回の会談で最も関心を集めたのは、日本軍の従軍慰安婦問題と明治産業革命遺産の問題だった。慰安婦問題で両国は日本の国家責任をめぐり激しく対立した。日本はこれまで韓国に対し、▲今回の交渉妥結を最後にすることをどんな形であれ保証すること▲在韓日本大使館前にある慰安婦少女像を撤去すること▲慰安婦関連市民団体の海外活動に対する支援を取りやめること――を要求した。共同通信によると、日本は局長級協議で、韓国に「性奴隷」という表現の使用中止を求めたとされる。

 しかし、その見返りとして、日本が国家責任を認めるというサインは出していない。日本の外務省幹部は会談直前、日本の記者団に対し、「日本の立場は変えない」と説明した。1965年の韓日協定(日韓基本条約)で全ての賠償を終えており、日本にこれ以上の法的責任はないとの主張だ。外務省幹部は「日本にそれを変えろというのは、戦後処理の方式を変えろということに等しい」と述べた。

 尹長官は会談に先立ち、「韓日の局長級会議でそれなりの進展があり、努力すれば共通点を見いだせる段階が来るのではないか」と述べたが、同日の交渉でも両国は互いの立場を確認したにとどまり、決定的な一歩を踏み出すには至らなかった。

 一方、明治産業革命遺産については、日本はやや柔軟な姿勢を見せており、成果が期待される。日本は1850年から1910年にかけて建設された産業施設23カ所をユネスコの世界遺産に登録するため、2001年から14年間努力してきた。うち7カ所で日帝時代(日本による植民地統治時代)末期に強制徴用が行われた事実を韓国側が指摘すると、ユネスコ傘下の国際記念物遺跡会議(ICOMOS)は最近、日本政府に対し、「歴史の全貌を理解できるようにすべきだ」と勧告した。事実上韓国の主張を認めた格好だ。

 これに関連し、NHKは21日、日本政府が韓国の主張に一定の配慮を行う代わりに、明治産業革命遺産の世界遺産登録時に韓国の同意を得ようとしていると報じた。外相会談に先立ち、日本政府は杉山晋輔外務審議官(次官級)をソウルに派遣し、2日間にわたり、韓国政府関係者との事前調整に当たらせたという。尹長官は会談後、両国が事実上合意に至ったことを示唆し、「こうした好循環が他の分野にも拡大することを期待する」と述べた。

東京=キム・スヘ特派員
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース