食卓を囲む
クロジュリ?ジュリクロ?しらねーよ!!!ってわけで、1日ジュリエットなりきりbotをしているところで、ロードラ小説をすごく短いの作ってみようと思いました。
個人的に、組織に来たジュリエットって、結構ほら、実力者じゃないですか?でもカノッサのせいとか、才能とか、そういう言われ方もあったかもしれないなー。帝国云々があったとしても、まー、期待に沿えるよう彼なりに頑張ったところあったんじゃないかな!!でもそういうのまったく見てもらえてなくて色々溜まっている時にこういう事があったらいいなって願望を詰めてみました。どうも。
というわけで、いざ、食卓を囲みましょう?
個人的に、組織に来たジュリエットって、結構ほら、実力者じゃないですか?でもカノッサのせいとか、才能とか、そういう言われ方もあったかもしれないなー。帝国云々があったとしても、まー、期待に沿えるよう彼なりに頑張ったところあったんじゃないかな!!でもそういうのまったく見てもらえてなくて色々溜まっている時にこういう事があったらいいなって願望を詰めてみました。どうも。
というわけで、いざ、食卓を囲みましょう?
【食卓を囲む】
鉄の板――――はだいぶ熱く焼けている。任務帰りの俺を待っていたのは、そんな焼石、もとい焼けた鉄板だった。目をぱちくりする余裕もねーや。焼けた鉄板を乗っけたテーブルの向こうには、眉間にしわを寄せて本を睨み付ける上司――――とかいう肩書を持った男がいた。上司なんて簡単に言っちまったけど、ウチの組織の最高位だ、この男―――クロノは。
「なんスかコレ」
率直な俺の感想がコレだ。
焼石だけじゃない。テーブルの上には、青臭い葉っぱとか、粉、あと、海で獲れる―――ああ、知ってる。イカだ。あと、エビ。あと皿と、茶色っぽいタレ、他にもよくわかんねーもんがたくさん置かれていた。
「お好み焼き、だ」
「オコノミヤキ」
「ワノクニに伝わる料理らしい」
「らしい、って」
おいおい、もっと頭良さそうな発言する奴だと思ってたのに。カノッサを壁に立てかけて、俺は促されるままに席に着いた。俺と、上司と言う名の先輩とカノッサの他には、部屋には誰もいない。熱く焼けた鉄板がテーブルにあるだけ。
「そこの粉を水でといてくれ」
「はあ、」
ちょっと偉そうに先輩は言う。本は、きっとオコノミヤキのレシピが書いてあんだろな。眉間に皺をよせたまま、俺が粉を水にとくのを見つつ、次の項を読み上げる。
「もったりするくらいだぞ」
「―――――こんな感じっすかね」
「おそらく、そうだな。そこのヤマイモを擦ったのを入れろ」
「これ、先輩が擦ったんすか?」
「とっとと入れるんだ」
「了解っと……」
こんな調子で、葉っぱを入れろ、卵を入れろ、さっくり混ぜろ、などと言われ続けた。なんでこんな事になってんだろ、と思いつつ、焼けた鉄板に作ったどろどろを置いた時の、じゅわ~って音を聞いたら、ちょっとその気もどっかいった。
美味しそうな音と一緒に、むちゃくちゃ香ばしいにおいがする。任務で嗅いだ泥臭さと血なまぐささが、吹っ飛んでいった。
先輩は一度頷くと、本を横に置いた。
「しばらく、待つぞ」
「アッ、ハイ」
「そうだな……6分程だ」
厳粛に時計を取り出して、横に置く。そこから、どうしようもない沈黙が6分続くのが予想されて、俺はちょっとゲンナリした。と、俺の思惑は外れて、意外にも先輩が口を開く。
「ジュリエット」
「へ、ええ、ああ、はい」
テーブルの向こう側、俺に声をかけたはいいが、どう話を続ければいいか悩んでいる顔と目が合った。そんなの俺の方がききてーのに。
何を考えて、俺を、新入りのぺーぺーを、あんたみたいな最高の位のひとが、こんなバカみたいな場に招待してるんだか。
「――――あと4分で、それをひっくり返せ」
「ひっくり返す?」
「その前に、エビと、イカと、豚肉を乗せておくんだぞ」
「あ、ハイ……ひっくり返す?」
「そうだ」
どうしろと。俺の手元には、ナイフとフォークしかないぞ……。なるべく大きい、平べったいナイフを選んでおこう。
ぬるっとするイカとエビをスプーンでほいほい乗っけて。スライスされた豚肉も一緒に乗っけて。
「10、9、8……」
おおお、先輩のカウントダウンが唐突に始まった。慌てて俺は用意したナイフを取って、構えた。じゅっていう音がして、さっきのどろどろが焼けて固まっているのがわかった。
「2、1……0」
カウントダウンのゼロと共に、俺が例のどろどろだったものをひっくり返す。
「あっちゃー」
べちん、なんて音を立てて、無様に鉄板に返ってきた。あ、でもすげーいい匂いがする。焼けるといいのか。理解して、いそいそと誤魔化すように、細かくなった部分と元の大きなところのどろどろを鉄板に当たるようにした。
「そこから、もう5分だ」
「へーい」
「焼けた奴を、皿にのせて、ソースをかけて食べる」
「混ぜて焼くだけっすか。シンプルっすね」
そのシンプルな料理に割と手こずってた話はナシだ。また5分かーなんて思ってぼーっとしてたら、
「ジュリエット」
なーんて、また呼ばれた。
「はいはい?」
「……任務はどうだった」
「どうって……いつも通りっすよ」
いつも通り。組織にとって邪魔な奴を排除。血なまぐさいオシゴト。時々咎人を探したり。俺はちょっぴり書についてとかも調べたりしたし―――――あとは、まあ、いつも通りしか言えない内容ばっかだ。カノッサをぶん回せばすぐ終わる。いやー、あいつの持ち主で良かったわー、楽でたまんね。ははは。
伏せられてた先輩の目と、俺の視線が触れ合う。
「そろそろ焼けるぞ」
「あ、ハイ」
もう、5分なんて経ったか。さっきよりは上手く、皿の上に乗っけた。ソースをかけると、もっといい匂いがした。
「ハイハイ、先輩のっす」
尊大そうに頷いて、先輩は隣に置いた本に書いてあるであろう絵と、ちょっと見比べていた。
「本に載っているのと、だいぶ違うな」
「まー……初めて作る料理なんて、そんなもんじゃないっすか?」
「だろうな」
そう言って、先輩は、オコノミヤキにナイフとフォークを突き立てる。オコノミヤキにずぶりと埋まった。
「最初なんてそんなものだ。大抵、上手く出来ない。たとえ、お前でも。たとえ、俺が指示しても」
「はあ」
俺は先輩みたいに上品にナイフは使わず、テキトーにフォークだけでオコノミヤキを切って口に入れた。
香ばしくって、不味くはないけどしょっぺえ。先輩も口に入れて同じことを思ったらしく、表情が一瞬歪んで、耳がぷるっとしていた。
「いい材料を使っても、そう、使い手が悪ければこんなものだ」
「えーっと……なんすか、今日は俺をけなすデーですか?」
「いや」
しょっぱそうな顔で、オコノミヤキをもう一口。
「お前なら、そのうちもっとうまくできる」
「……」
「不味い、とけなされてもな」
「…………んー」
ソースをかけすぎてしょっぱくなっちまったオコノミヤキを見下ろして、俺は最近の事が走馬灯みたいに頭を走っていくのを感じた。俺がカノッサをぶんぶん振り回して任務をこなす。新入りのぺーぺーだっつーのに、結構めんどくせーことも、最近はだいぶやらされるようになった。それこそ、結構前から組織にいた奴は、一部だけどいい顔をしない。
虎の威を借る狐のくせに。みたいな?
そりゃーそうだ。
俺は五体満足だ。
カノッサが、俺の咎だから。
「お前の腕がいいと、証明しろ。認めさせろ。不味いのは、今は当たり前だ」
カラン、とフォークが先輩の皿の上で音を立てた。
「今は、な」
「ふーん……?」
この人でも、こーんな事しちゃうんだ。
どんだけ俺、期待されてるんだか。それとも、あれか。よっぽど情けねー面してたんだろーな。ここ最近、ちょっとだけカノッサ持つのがいやーな感じしてた。うん、確かに。俺でも気付くか気づかねーかってトコを絶妙に気付いてくるわけなんだから、俺、だいぶこの人に目をかけられてんだなー。それで食卓を囲むってのも、納得か。
思えば、この人に飯なんて『必要』じゃねーんだ。でもそれを無理やりひん曲げて『必要』にしたわけで。
はー、しょっぺえ。
カラン、と俺もフォークを皿に置いた。
「せんぱーい」
「なんだ」
へら、と笑って、俺は提案する。
ご期待に沿えるよう、善処しますワ。的な?
「2枚目、いかがっすか?」
鉄の板――――はだいぶ熱く焼けている。任務帰りの俺を待っていたのは、そんな焼石、もとい焼けた鉄板だった。目をぱちくりする余裕もねーや。焼けた鉄板を乗っけたテーブルの向こうには、眉間にしわを寄せて本を睨み付ける上司――――とかいう肩書を持った男がいた。上司なんて簡単に言っちまったけど、ウチの組織の最高位だ、この男―――クロノは。
「なんスかコレ」
率直な俺の感想がコレだ。
焼石だけじゃない。テーブルの上には、青臭い葉っぱとか、粉、あと、海で獲れる―――ああ、知ってる。イカだ。あと、エビ。あと皿と、茶色っぽいタレ、他にもよくわかんねーもんがたくさん置かれていた。
「お好み焼き、だ」
「オコノミヤキ」
「ワノクニに伝わる料理らしい」
「らしい、って」
おいおい、もっと頭良さそうな発言する奴だと思ってたのに。カノッサを壁に立てかけて、俺は促されるままに席に着いた。俺と、上司と言う名の先輩とカノッサの他には、部屋には誰もいない。熱く焼けた鉄板がテーブルにあるだけ。
「そこの粉を水でといてくれ」
「はあ、」
ちょっと偉そうに先輩は言う。本は、きっとオコノミヤキのレシピが書いてあんだろな。眉間に皺をよせたまま、俺が粉を水にとくのを見つつ、次の項を読み上げる。
「もったりするくらいだぞ」
「―――――こんな感じっすかね」
「おそらく、そうだな。そこのヤマイモを擦ったのを入れろ」
「これ、先輩が擦ったんすか?」
「とっとと入れるんだ」
「了解っと……」
こんな調子で、葉っぱを入れろ、卵を入れろ、さっくり混ぜろ、などと言われ続けた。なんでこんな事になってんだろ、と思いつつ、焼けた鉄板に作ったどろどろを置いた時の、じゅわ~って音を聞いたら、ちょっとその気もどっかいった。
美味しそうな音と一緒に、むちゃくちゃ香ばしいにおいがする。任務で嗅いだ泥臭さと血なまぐささが、吹っ飛んでいった。
先輩は一度頷くと、本を横に置いた。
「しばらく、待つぞ」
「アッ、ハイ」
「そうだな……6分程だ」
厳粛に時計を取り出して、横に置く。そこから、どうしようもない沈黙が6分続くのが予想されて、俺はちょっとゲンナリした。と、俺の思惑は外れて、意外にも先輩が口を開く。
「ジュリエット」
「へ、ええ、ああ、はい」
テーブルの向こう側、俺に声をかけたはいいが、どう話を続ければいいか悩んでいる顔と目が合った。そんなの俺の方がききてーのに。
何を考えて、俺を、新入りのぺーぺーを、あんたみたいな最高の位のひとが、こんなバカみたいな場に招待してるんだか。
「――――あと4分で、それをひっくり返せ」
「ひっくり返す?」
「その前に、エビと、イカと、豚肉を乗せておくんだぞ」
「あ、ハイ……ひっくり返す?」
「そうだ」
どうしろと。俺の手元には、ナイフとフォークしかないぞ……。なるべく大きい、平べったいナイフを選んでおこう。
ぬるっとするイカとエビをスプーンでほいほい乗っけて。スライスされた豚肉も一緒に乗っけて。
「10、9、8……」
おおお、先輩のカウントダウンが唐突に始まった。慌てて俺は用意したナイフを取って、構えた。じゅっていう音がして、さっきのどろどろが焼けて固まっているのがわかった。
「2、1……0」
カウントダウンのゼロと共に、俺が例のどろどろだったものをひっくり返す。
「あっちゃー」
べちん、なんて音を立てて、無様に鉄板に返ってきた。あ、でもすげーいい匂いがする。焼けるといいのか。理解して、いそいそと誤魔化すように、細かくなった部分と元の大きなところのどろどろを鉄板に当たるようにした。
「そこから、もう5分だ」
「へーい」
「焼けた奴を、皿にのせて、ソースをかけて食べる」
「混ぜて焼くだけっすか。シンプルっすね」
そのシンプルな料理に割と手こずってた話はナシだ。また5分かーなんて思ってぼーっとしてたら、
「ジュリエット」
なーんて、また呼ばれた。
「はいはい?」
「……任務はどうだった」
「どうって……いつも通りっすよ」
いつも通り。組織にとって邪魔な奴を排除。血なまぐさいオシゴト。時々咎人を探したり。俺はちょっぴり書についてとかも調べたりしたし―――――あとは、まあ、いつも通りしか言えない内容ばっかだ。カノッサをぶん回せばすぐ終わる。いやー、あいつの持ち主で良かったわー、楽でたまんね。ははは。
伏せられてた先輩の目と、俺の視線が触れ合う。
「そろそろ焼けるぞ」
「あ、ハイ」
もう、5分なんて経ったか。さっきよりは上手く、皿の上に乗っけた。ソースをかけると、もっといい匂いがした。
「ハイハイ、先輩のっす」
尊大そうに頷いて、先輩は隣に置いた本に書いてあるであろう絵と、ちょっと見比べていた。
「本に載っているのと、だいぶ違うな」
「まー……初めて作る料理なんて、そんなもんじゃないっすか?」
「だろうな」
そう言って、先輩は、オコノミヤキにナイフとフォークを突き立てる。オコノミヤキにずぶりと埋まった。
「最初なんてそんなものだ。大抵、上手く出来ない。たとえ、お前でも。たとえ、俺が指示しても」
「はあ」
俺は先輩みたいに上品にナイフは使わず、テキトーにフォークだけでオコノミヤキを切って口に入れた。
香ばしくって、不味くはないけどしょっぺえ。先輩も口に入れて同じことを思ったらしく、表情が一瞬歪んで、耳がぷるっとしていた。
「いい材料を使っても、そう、使い手が悪ければこんなものだ」
「えーっと……なんすか、今日は俺をけなすデーですか?」
「いや」
しょっぱそうな顔で、オコノミヤキをもう一口。
「お前なら、そのうちもっとうまくできる」
「……」
「不味い、とけなされてもな」
「…………んー」
ソースをかけすぎてしょっぱくなっちまったオコノミヤキを見下ろして、俺は最近の事が走馬灯みたいに頭を走っていくのを感じた。俺がカノッサをぶんぶん振り回して任務をこなす。新入りのぺーぺーだっつーのに、結構めんどくせーことも、最近はだいぶやらされるようになった。それこそ、結構前から組織にいた奴は、一部だけどいい顔をしない。
虎の威を借る狐のくせに。みたいな?
そりゃーそうだ。
俺は五体満足だ。
カノッサが、俺の咎だから。
「お前の腕がいいと、証明しろ。認めさせろ。不味いのは、今は当たり前だ」
カラン、とフォークが先輩の皿の上で音を立てた。
「今は、な」
「ふーん……?」
この人でも、こーんな事しちゃうんだ。
どんだけ俺、期待されてるんだか。それとも、あれか。よっぽど情けねー面してたんだろーな。ここ最近、ちょっとだけカノッサ持つのがいやーな感じしてた。うん、確かに。俺でも気付くか気づかねーかってトコを絶妙に気付いてくるわけなんだから、俺、だいぶこの人に目をかけられてんだなー。それで食卓を囲むってのも、納得か。
思えば、この人に飯なんて『必要』じゃねーんだ。でもそれを無理やりひん曲げて『必要』にしたわけで。
はー、しょっぺえ。
カラン、と俺もフォークを皿に置いた。
「せんぱーい」
「なんだ」
へら、と笑って、俺は提案する。
ご期待に沿えるよう、善処しますワ。的な?
「2枚目、いかがっすか?」