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新技術・新製品

物材機構、鉄系超電導線材で世界最高の臨界電流密度を達成−28テスラの超高磁界実現

掲載日 2015年06月22日
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(上)作製した線材の断面図
(下)作製した線材(いずれも物材機構提供)

 物質・材料研究機構超伝導線材ユニットの熊倉浩明特命研究員と戸叶一正名誉研究員、高召順(ガオ・シナシュン)研究員らは、鉄系超電導線材で世界最高の臨界電流密度を達成し、低コストな製造法を開発した。加速器や核磁気共鳴(NMR)測定装置、核融合炉などで28テスラの超高磁界を実現できるようになる。

 バリウムカリウム砒(ひ)化鉄(通称Ba122)という合金の線材で、実用レベルとされる臨界電流密度10万アンぺア/平方センチメートルを上回り、同14万アンぺア/平方センチメートルを達成した。Ba122は約30テスラでも電流密度が損なわれないため、超高磁界を作れる。
 鉄系超電導線材はBa122などの合金粉末をパイプに詰めて圧延し、焼結したもの。他の研究グループは圧延後に熱間プレスを施して電流密度を上げていたが、今回冷間プレスで世界最高値を達成した。さらにプレスせず、圧延のみでも10万アンぺア/平方センチメートルを達成した。超電導線材の量産化に向けて、大きく製造コストを下げられる。製造工程ではBa122粉末を銀で包み、さらにステンレスで包んで線材にする。銀で遮断することでBa122とステンレスの反応を防ぐ。
 この銀にスズを加えて銀合金を硬くした。圧延時にBa122の中心に圧力がかかるため、結晶の密度や配向性が向上して、より多くの電流を流せる。従来は銀が柔らかく力を逃がしていた。


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