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高橋幸宏×Bose対談 音楽家のあり方と連動するフェス文化の成熟
インタビュー・テキスト:柴那典 撮影:西田香織(2015/06/22)
「野外フェス」というものは、もはや、若者だけの場所ではない。もともとの言葉の意味である「祭り」がそうであるのと同じように、そこには大人から子どもまで、様々な世代の人たちが集うようになってきている。15年ほど前、『FUJI ROCK FESTIVAL』や『SUMMER SONIC』がスタートして数年の頃には、そんな光景は見られなかったが、今や親子連れの姿も増え、野外でのんびりと音楽を楽しむ人たちが増えてきている。
今年で8年目を迎えた『WORLD HAPPINESS』は、30代や40代以上の家族連れも足を運ぶ「大人のフェス」として定着してきている。都心でありながら、緑深い森林に囲まれた会場。参加者にはレジャーシートが配られ、のんびりとピクニック気分で一日を過ごすこともできる。キュレーターをつとめる高橋幸宏は、果たしてどんな場を作ることをイメージしてきたのか? 2009年、2011年に続いての出演となるスチャダラパーのBoseとの対談にて、『WORLD HAPPINESS』の魅力や、フェス文化の成熟について、語り合ってもらった。
高橋幸宏(たかはし ゆきひろ)
1972年、Sadistic Mika Bandに参加。1978年、細野晴臣、坂本龍一とともにYellow Magic Ochestra(Y.M.O.)を結成、国内外に大きな影響を残したが、1983年12月をもって「散開」。ソロ活動と併行して鈴木慶一(ムーンライダーズ)とのTHE BEATNIKSとしても活動。2001年には細野晴臣とSKETCH SHOWを結成。2008年、原田知世、高野寛らとともにpupa(ピューパ)を結成。2013年にはIn Phase、2014年にはMETAFIVEと、近年は年下の音楽家たちとのバンド活動が顕著である。小山田圭吾、TOWA TEI、砂原良徳、ゴンドウトモヒコ、LEO今井というメンバーによるMETAFIVEは、当初一夜限りのライブのために結成されたが、その反響は大きく、その後も突発的継続的にライブが行われている。2008年『WORLD HAPPINESS』を東京・夢の島で開催。以降、毎年10数組のアーティストが参加し、好評を博している。ソロとしては1978年の『Saravah!』以降、コンスタントに作品を発表しており、2013年、In Phaseとともに創り上げた23枚目のオリジナル・アルバム『LIFE ANEW』をリリース。
高橋幸宏オフィシャルブログ [room66+]
yukihirotakahashi (@room66plus) | Twitter
Bose(ぼーず)
ラップグループ、スチャダラパーのMC担当。1990年にデビューし、1994年『今夜はブギー・バック』が話題となる。以来ヒップホップ最前線で、フレッシュな名曲を日夜作りつづけている。2015年にアルバム『1212』をリリース。
スチャダラパー | SCHA DARA PARR
最近はフェスがとても増えてきて、お客さんたちがフェスに慣れてきてますね。その中で、年をとっていても、親子連れでも来やすいフェスがあってもいいと思った。(高橋)
―まず、『WORLD HAPPINESS』(以下、『ワーハピ』)というフェスがどういうところから立ち上がったかを教えてください。
高橋:最近はフェスがとても増えてきていて、お客さんたちが野外フェスに慣れてきてますね。僕自身もここ7~8年でいくつものフェスに参加してきましたけど、ここにきてそのことをあらためて実感しています。
Bose:特に『フジロック』は毎年行く人が多いですからね。知り合いにも「今年も10人で行くけど誰か来れる?」と毎年聞いている人がいます。
高橋:出演者が誰であろうと関係なく、チケットを買う人もたくさんいますね。ただね、あそこは慣れている人にとってはいいんですけど、初心者にはちょっと厳しいかもしれない。
―それはなぜでしょうか?
高橋:全日程参加しようと思ったら泊まりがけで行かないといけないし。会期中必ずと言っていいほど雨は降るし。ステージとステージの間の移動はいっぱい歩くことになるし(笑)。それも含めて楽しめるっていう人たちにはそれでもいいんですけど、もう少し気軽な、都心で日帰りで来られるようなフェスがあってもいいんじゃないかと思ったんですね。それだったら、年をとられていても、親子連れでも来やすいから。託児所とか、子どもたちが遊べる場所を作ったのは、そういう気持ちがあったからなんですよね。
―都市型の過ごしやすいフェスをイメージした。Boseさんもいろいろなフェスに出ていらっしゃいますが、出演者側から見た『ワーハピ』の独自性ってどういうところに感じますか?
Bose:まず、会場(新木場の夢の島公園陸上競技場)までの距離が近くて、気持ちとしては恵比寿のリキッドルームに行くのと変わらないくらい。車ですぐに戻ってこられるので、普通に都内で打ち上げができるのも珍しい(笑)。あと、バックヤードがものすごく快適で過ごしやすいんですよ。実はクーラーも効いていて居心地がいい。
高橋:これまでは8月の第2週の日曜日を開催日にしていたんですが、この時期というのは非常に暑いんですよ……。最近は日本列島だけじゃなくて、世界中の気候が変になってきてるせいもあるのかもしれないけど、暑さがハンパじゃない。そんなこともあって今回は8月23日にちょっとだけ時期をずらしてみました。バックヤードについて言えばね、フェスによっては出演者に過酷な環境のところというのもあって(笑)、やっぱり良いコンディションでステージに立っていただきたいので、少しでも快適に過ごしてもらえるよう配慮しているつもりです。
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