不正論文の件は週に1回しかチェックしていないのでいつも書くのがやや遅いです。今回もいただいたメールで
ディオバンで柏木厚典「結論に誤りなし」、ノバルティス刑事告発などの件で出た柏木厚典滋賀医科大学副学長の論文が撤回されていたということを初めて知りました。
結局論文撤回されましたね。研究責任者K病院長が辞任を表明されたと発表があったが、筆頭著者 U准教授も辞任されることになった。(引用者注:U准教授については後半で。辞任というのは間違いだと思われます)
U氏はHypertension ResにもSMARTの論文を筆頭著者で出しており、報道はされていないが、その論文も削除されることになった。その責任をとる形での辞任となった様子。
不正が社会的に認められてしまった形となっては、大学の准教授も続けられないとの判断であろう。
遅すぎた決断とはいえ、適切な判断だと思われる。
K病院長ってのは柏木厚典滋賀医科大学副学長のことだと思われます。柏木厚典さんは附属病院の病院長も勤めていました。
前回で見たときに滋賀医科大学が深刻だったのは、問題の責任者が上記の通り「副学長」という立場で、次期学長候補という超大物だった点です。本来なら当然論文撤回なんだけど大学内では権力の関係で追及に及び腰、それを知ってか柏木厚典副学長も「結論に誤りなし」と超強気でした。
私は前掲のメールを見て、それでも結局観念して撤回したんだなと思いました。しかし、これは大勘違い。撤回にはなっているものの、柏木厚典副学長が自分で撤回したわけではありませんでした!
滋賀医大の論文を撤回 掲載の米糖尿病学会誌 2014/1/20 21:19 日経新聞
滋賀医大は20日、スイス製薬大手の日本法人、ノバルティスファーマの高血圧症治療薬ディオバン(一般名バルサルタン)を使った臨床研究論文について、掲載していた米糖尿病学会誌から「論文を正式に撤回する。10%前後のデータの不一致があり、科学論文として不適切」と17日にメールで通知があったと明らかにした。〔共同〕
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2003U_Q4A120C1CR8000/
不正論文の時点で大恥ですが、他のディオバン論文ですらした自発的な撤回すら拒んで、学会誌側から取り消されるという屈辱的なことに。日本の恥さらしです。
記事によると、柏木厚典副学長は単なる拒否ではなく、"「データを再解析した結果、論文の結論は間違っていない」として、同学会誌にデータの誤りを修正した上で再投稿していた"ようです。これに関する学会誌の回答が「撤回」ですね。
したがって、「辞任」というのも自発的なものではなく追い込まれたものです。さすがにいくら腐った大学でも、学会誌から不適切と判断された論文を書いている人を責任あるポジションに置いておけないのでしょう。
バルサルタン:米糖尿病学会誌、滋賀医大の論文取り消し
毎日新聞 2014年01月20日 21時29分
柏木氏は責任を取り、病院長や副学長など全ての職を辞任する意向を表明した。(中略)
柏木氏は取材に「取り消しになった責任の重要性を考慮し、辞任を決めた。社会に対して大変申し訳ない」と陳謝した(中略)。
大学側は「臨床研究の公明性確保に一層努める。社会をお騒がせし、深くおわびする」としている。関係者の処分は今後検討するという。【千葉紀和】
http://mainichi.jp/select/news/20140121k0000m040099000c.html
ただ、懲りていない柏木厚典副学長は「データの差はあったが、研究の結論は間違っていない。再解析結果を別の医学誌に再投稿したい」と述べたそうです。これ以上恥を上塗りしないでほしいのですが…。
なお、「筆頭著者 U准教授も辞任」の件は確かに報道されていません。論文を確かめるとどうも宇津貴(Takashi Uzu)滋賀医大准教授のことだと思われます。こちらのお名前で検索かけてみると、論文不正追及ではお馴染みの世界変動展望著者さんが「まだ未確認」といったツイートをされていました。
世界変動展望 著者 @lemonstoism
SMARTの論文筆頭著者・宇津貴滋賀医大准教授も論文撤回で引責辞任と情報提供があった。本当かどうかの裏は取れていないので、その点はご注意ください。
https://twitter.com/lemonstoism/status/426388151599239168
下書き時点ではこれ以上の情報はないですね。
ちなみに下記は宇津貴さんの研究業績(文献情報)。柏木厚典さんとセットのものが結構あり、タイトルに「SMART」の入ったものも複数見られます。
滋賀医科大学研究情報データベース:研究業績(文献情報) 研究者氏名: 宇津 貴
http://www.shiga-med.ac.jp/db/web/0007019648pub.html この際きちんと調べて膿(うみ)は出しきってしまった方がいいと思いますが、これ以上広がるかどうか…。
2/21追記:メールでご指摘をいただきましたが、宇津貴准教授が辞任されたという報道など、辞任の証拠となるものは今現在までありません。この件に関しては、間違いだったと見た方が良さそうです。
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