[沖縄戦デジタルアーカイブ]昔と今が地続きであることを見てほしい 渡邉英徳さん(首都大学東京准教授)

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「昔と今の世が地続きであることを見てほしい」と語る首都大学東京の渡邉英徳准教授

「昔と今の世が地続きであることを見てほしい」と語る首都大学東京の渡邉英徳准教授

 これまで数多くのデジタルアーカイブを手掛けてきた首都大学東京システムデザイン学部の渡邉英徳准教授に「沖縄戦デジタルアーカイブ」の特徴などについて聞いた。

命の足跡をたどる「沖縄戦デジタルアーカイブ」

 -今回のアーカイブの特徴は

 記事や資料から沖縄戦体験者の移動の軌跡を緯度、経度、時間を基に地図に載せていった。32人それぞれの移動の記録が重ね合わされると、沖縄戦という大きな物語を人の視線で語ることができた。

 沖縄戦は、1945年3~6月までの時間の幅がある。同じ場所を違う時期に通過した人やすれ違った人もいる。それは、一人一人の動きを重ねてみないと分からないし、テキストだけでは頭の中で描けない。今回、テクノロジーの力で初めて可視化できた。

 -アーカイブの利点は

 複数の資料を一気に見られる。そして、こちらが説明しなくても、何を意味するアーカイブなのか、大抵の人は見た瞬間に理解できる。

 今後、いろんな人が参加しながらアーカイブを作り上げていく。その際、地球の上に一人一人の資料が載っていくんだという完成像を描けるからこそモチベーションにつながるし、戦争体験者にとっては、自身の話が世界中に発信されることが勇気になる。

 -アーカイブを通して伝えたいことは

 ひとたび大きな出来事に巻き込まれると、日常を過ごしていた一般の人が、体験者、被爆者に変わる。家族と離れ離れになったり、逃げなければいけない状況に追い込まれたりする。昔と今の世が地続きであることを見てもらいたい。(聞き手 デジタル部・與那覇里子)

 <わたなべ・ひでのり> 1974年大分県出身。情報アーキテクト。首都大学東京システムデザイン学部准教授 佐賀大学医学部客員研究員

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 沖縄戦を指揮した第32軍牛島満司令官が自決したとされる6月23日を、沖縄県が1974年に「戦没者追悼、恒久平和を希求する日」として条例で定めた。沖縄戦において日本軍の組織的戦闘が終わったとされる日。沖縄戦では、激しい地上戦で、子どもを含む住民約9万4000人、日米軍人含め、20万人以上が犠牲になったとされている。

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6月22日(月) 紙面

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