小川詩織
2015年6月22日19時49分
野鳥の群れが都市部の街路樹などに集まり、各地で糞(ふん)害や鳴き声の騒音被害をもたらしている。いま、効果絶大の対策として注目されているのが、古来の妙技「鷹匠(たかじょう)」による追い払いだ。
6月中旬、福井市の繁華街の入り口にある大名町交差点。夕暮れが迫ると、一帯にあるケヤキやユリノキの街路樹にムクドリの群れが集まってきた。信号待ちの車や歩道に糞が降り注ぐ。けたたましい鳴き声がビルの壁に反響する。
そこへ、石川県小松市から鷹匠の吉田剛之さん(42)がワゴン車でやってきた。ムクドリの集まる木を見上げる吉田さんの左手には、タカ科のハリスホーク。手を木に向けて振ると、タカは翼を羽ばたかせて猛然と木に向かっていった。数十羽のムクドリたちが一斉に逃げていく。
外敵が少ない都市部の街路樹は、ムクドリやハト、カラスなどの格好のねぐらだ。日中は周囲の森や田畑などで過ごし、日没とともに集まってくる。大名町交差点付近の街路樹には、昨年12月の福井県の調査で4千羽を超すムクドリが集結し、住民や商店主から苦情が相次いでいた。
このため、福井県と福井市などは昨年12月に「鳥害対策検討会」を設置。県が調べると、大阪府堺市が約2年前に鷹匠を使って成功した例があった。そこで、今年度に約100万円の予算を組み、1回約3万円で吉田さんに依頼した。5月から週2、3回、大名町交差点の周辺でタカを放ち、ムクドリの数は大幅に減った。12月まで様子を見ながら30回ほど続ける。
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