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【政治】

秘密382件 初の国会報告 恣意的指定、チェック困難

 政府は二十二日、重要情報の漏えい防止を目的とする特定秘密保護法の運用状況をまとめた初の報告書を閣議決定した。同日中に国会に提出。対象期間は法施行日の昨年十二月十日から同月末までの二十二日間のみで、特定秘密の指定件数は防衛省など十機関の三百八十二件にとどまった。類型別で暗号(百十三件)が最多だった。透明性が限られた内容となり、恣意(しい)的な指定のチェックは困難な状況だ。

 報告を受ける衆参両院の情報監視審査会は、秘密指定の妥当性などの審査に入る。メンバーは与党が多数を占め「追認機関」となる疑念は残る。

 特定秘密保護法を担当する上川陽子法相は記者会見で「適切な運用を積み重ね、丁寧で分かりやすい説明を継続し、国民の理解の増進に努めたい」と強調した。

 報告によると、秘密の類型は暗号に続き「情報収集衛星関連」(八十五件)、「武器関連」(五十七件)が多かった。他の類型別の件数は示されなかった。秘密を扱う公務員らの身辺を調べる「適性評価」の実施と、各機関の内部通報窓口への通報はいずれもなかった。

 指定された三百八十二件の政府機関別の内訳は一月に公表されている。最多が防衛省の二百四十七件。このうち新たな指定は一件で、二百四十六件は自衛隊法に基づく防衛秘密が特定秘密に移行された。内閣官房(四十九件)、外務省(三十五件)、警察庁(十八件)などが続いた。特定秘密が記録された行政文書は、政府全体で十八万九千百九十三件だった。

 報告は情報保全諮問会議の有識者の意見も列挙し「特定秘密を取り扱う部署名や管理者名を報告に加えるなど運用状況を具体的に示すべきだ」などとされた。有識者の指摘を踏まえ、報告の脚注で指定の有効期間が「五年」が三百八十一件で、「二年」が一件と明かした。

 秘密保護法は、政府が秘密の指定と解除の状況を毎年一回国会に報告するよう義務付けている。

<特定秘密保護法> 漏えいすれば国の安全保障に著しい支障を与える恐れがある重要な情報を特定秘密に指定し、保全することを掲げた法律。外部に漏えいした場合、最高で懲役10年の罰則を科す。昨年12月に施行された。国会による監視も必要として、衆参両院に国会議員をメンバーとする「情報監視審査会」を設置した。政府は運用状況をまとめた報告書を毎年1回国会に提出する。

 

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