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プロ野球コラム
今年の6月までは、育成選手の三桁背番号「111」をつけていた砂田毅樹。育成から2年で一軍登録、その勢いはどこまでいくのか。
photograph by NIKKAN SPORTS
野球クロスロード

泥沼12連敗DeNAに救世主現る!?
大谷翔平が驚いた強心臓・砂田毅樹。

田口元義 = 文

text by Genki Taguchi

photograph by NIKKAN SPORTS

 大抜擢どころの話ではない。

 高卒2年目。しかも、6月7日に育成枠から支配下選手に登録された矢先でのプロ初先発なのだ。

 砂田毅樹(よしき)を6月14日の日本ハム戦で先発起用すると明言したDeNAの中畑清監督は、確かにこう言った。

 ダメ元。

 この日の時点で、チームは引き分けを挟んで9連敗中。5月の快進撃はどこ吹く風と言わんばかりに、その勢いは急降下していた。

 ましてや相手の先発は、あの大谷翔平である。連敗ストップには不利な条件が多すぎる。

 ところが、当の砂田本人は大胆にもこう言ってのけた。

「プレッシャーはなかったですね。逆に、勝ったら評価が上がるじゃないですか」

 プロ初登板も9連敗も大谷との対決も、砂田にとっては、力試しのちょっとしたアクセントくらいの認識だったのだろう。

「全然年下っぽくなかったですよね」(大谷翔平)

 試合での堂々としたマウンド捌きが、それを証明していた。

「持ち味の真っ直ぐで思いっきり勝負していければ大丈夫かな、と思っていました」

 3回まで1四球のみの無安打投球を披露した。4回の2死満塁のピンチを、7番の石川慎吾を冷静にショートゴロに打ち取って切り抜けるなど、5回まで無失点。それは、首脳陣の期待をいい意味で裏切るパフォーマンスだった。

 一軍経験に乏しい投手というのは、多少なりともマウンド上でおたおたするものだ。

 安打を許す、四死球を出す、走者を溜める……。追い詰められるほど「失点しないように」と力んでしまうものだが、砂田の投球にそんな要素は一切見当たらなかった。

 投げ合った大谷の証言である。

「年下のピッチャーと初めて投げ合うということで緊張感はありましたけど、砂田君のピッチングは全然年下っぽくなかったですよね。緩急をしっかりと織り交ぜながら丁寧に投げていたし、すごく良かったと思います」

【次ページ】 6回途中、ランナーを溜めての降板に残った悔い。

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