無常道士
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木は枯れ、家は朽ち、生きとし生けるもの老いて死す。次に育つ木、次に立てられし家、次に生まれし命、全て過去のものと異なりて同じものに非ず。枯れた木の一部は土へと帰り木の滋養となりしやも、朽ちた家の釘鉄へと帰りて新しき家を組みしやも、焼かれし骸の灰世の中をめぐりて生まれしものの吸気となりて肺におさまるやもと言えり。然れどもそのいずれもが一部を成すにして全部は成さず。全部成さずしては同じものに成りしとは言えぬものなり。同じものに成らずば、なにをもって常在と言えようか。変わり行くことは諸物の法にして、この法から逃れること能わず。 (6/22 19:05:04)