野瀬輝彦
2015年6月22日15時42分
高値で取引される象牙を目当てに横行するアフリカゾウの密猟が近年、2カ所で集中して起きていることを米ワシントン大や国際刑事警察機構などの研究チームがDNA解析で明らかにした。象牙の国際取引はワシントン条約で禁止されており、研究チームは「法の執行を集中させれば違法なゾウの殺害をなくすことが可能になる」としている。
米科学誌サイエンス電子版に発表された論文によると、研究チームはアフリカの29カ国1350頭分のゾウのフンからDNAを集め、地域ごとの遺伝子特性を解析。1996年から2014年までに押収された象牙のDNAと照合し、密猟されたゾウがいた地域を割り出した。
その結果、以前は分散していた密猟エリアが近年は2カ所に集中。06年以降に押収された象牙の85%以上が①ガボン、コンゴ共和国、カメルーン、中央アフリカ共和国にまたがるエリア②タンザニアとモザンビークにまたがるエリアで密猟されていたことが判明した。一度の押収で双方の象牙が含まれていた場合もあり、それぞれの取引業者が結びついている可能性もあるという。
研究チームによると現在生息するアフリカゾウは50万頭以下で、毎年約5万頭が殺されているという。近年ではイスラム過激派の資金源になっているとも指摘されている。(野瀬輝彦)
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