【社説】両国民の決断が左右する韓日関係の未来

 韓国は日本から「請求権資金」という名目で10年にわたり無償3億ドル(約370億円)、有償2億ドル(約250億円)の資金提供を受けた。韓国政府はこれらの資金を使い浦項製鉄を立ち上げ、また京釜高速道路の建設など国内のインフラ整備や原材料の購入に当てた。その結果、国交正常化からの10年で韓国の輸出額はおよそ30倍、一人当たり国民所得は6倍にまで膨れ上がった。

 しかし条約の中で侵略と植民地支配に対する謝罪を明確にしなかった影響で、この問題はその後もずっと両国の間で禍根として残った。日本は「1910年の強制併合」についての違法性を最後まで認めず、「謝罪」などの言葉を使用することも強く拒否した。しかも「請求権」という言葉も日本国内に残る朝鮮の資産を返すという意味合いであり、賠償を意味するものではなかった。日本による歴史否定の根はここにあるのだ。

 しかしそれから50年で世界は大きく変わった。中国が急成長し経済力で日本を抜いた。国交正常化当時、日本のGDPは韓国の30倍だったが、今ではそれが3.3倍にまで縮まった。一人当たり国民所得の差に至っては1.3倍にすぎない。韓国の貿易総額で日本が占める割合も一時は40%台を占めていたが、今ではわずか7%にまで縮小した。このような状況に危機感を覚えた日本は、社会が右傾化する傾向を帯び始めた。日本国内の良識ある声は力を失い、中国警戒論や嫌韓といった異常な心理も広まりつつある。そのような流れの中で成立した安倍政権は、長期政権を目指すと同時に日本を「戦争ができる国」へと少しずつつくり替えようとしている。50年前の「韓国・米国・日本」対「北朝鮮・中国・ソ連」という単純な構図も今では非常に複雑化し、各国が微妙な関係を維持する状況へと変わっている。

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